週末に食料品を購入するためにいったスーパーにある本屋で、文庫本を
購入しました。
ちょっと面倒な文庫本は、このスーパーの本屋には入荷しないのですが、
このこじんまりとした本屋がなくなれば、このスーパーにくる楽しみの一つが
なくなりますので、ここで買えるものは、ここで買うようにしています。
買い物が終わって、レジでの支払いが終わるまで、出入り口近くにある
椅子等に腰掛けて、購入した本をつまみ読みすると、楽しくて、これなら
読み通すことができるぞと思うのでした。(なのに、自宅に戻りますと、
しばらく手にすることもなくなったりして。)
先日の購入書は、次のものでありました。
- 作者: 須賀敦子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2007/11/02
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 4回
- この商品を含むブログ (21件) を見る
「 先帝たちが築いた武のローマを、ギリシャ文明への憧れの模型につくり
かえるハドリアヌス帝の、『たよりない、いとおしい、たましい』の内面の
遍歴。あるいは、そのおなじ時間を生きようとして、傷つき、ぼろぼろに
なって旅をつづけ、旅に死ぬ『黒の過程』の主人公ゼノン。虚空をまさぐって
歩く人間の時間。精神の孤独な遍歴。それはまた、世紀末の時間を生きる
私たちにとってこのうえなくふさわしいだけでなく、ヨーロッパ精神をつくり
あげた、あの比類ない個への傾倒と隣りあわすものに思えた。」
( 須賀敦子「ユルスナールの小さな白い家」より )
「黒の過程」はいまから35年もまえに読んだように思います。まだ時間が
たっぷりあったし、体力と気力もつづきましたので、これを読み通すことが
できたように思います。もう一度よみたいと思いながら、はたせておりません。
この作品においても、つまみ読みなんてできるでしょうか。
旅立ち 遠い崖1 アーネスト・サトウ日記抄 (朝日文庫 (は29-1))
- 作者: 萩原延壽
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2007/10/10
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 14回
- この商品を含むブログ (26件) を見る
これまでずっと気になっていた萩原延壽「遠い崖」でありますが、とうとう
文庫となって、スーパーの本屋にもならんでいました。まだ一冊買っただけで
ありますから、さきはながい。どう考えても、最近の読書のスピードでは、
月2冊販売される文庫刊行の早さについていけそうもありません。
これも冒頭のところの数行を読みましたら、この先10数冊もあることを
忘れて、これを購入してよんでやるぞと思わせたのです。
「 わたしがよく通ったのは、ラウンド・ルームと呼ばれる円形の閲覧室で
あったが、壁際の書棚にならんでいる参考書のなかから、たとえばサトウが
日本で活躍していたころのイギリスの『外務省年鑑』を取り出し、サトウの
上司や同僚であった駐日イギリス公使館員や領事館員の名前、年俸、略歴などを
ながめているだけでも、空想はしきりにふくれあがり、時間は気づかぬうちに
過ぎていった。」