全集の内容見本2

 全集の内容見本のことにふれましたが、小生のところには、どのようなものが
あったかと納戸をさがしてみましたら、大きめの袋にどっとはいったのがでて
きました。ちょうど、小生が本を買い始めたのが60年代の終わりから、70年代に
かけてでありまして、その時代が一番内容見本が充実していたかと思います。
昨日に何十頁もの内容見本があったとありましたが、ほんとうにそうでありまして、
小生の手元にある一番古いものの一つである筑摩書房現代日本文學大系」全97巻の
見本は中身だけで32頁でありました。68年にでたものですが、筑摩書房
全集は図書館常備のセットでありましたので、見本に相当のお金をかけることが
できたのでしょう。見本の表紙には「三代にわたる文学の精髄 明日に読みつがれる
全集の決定版」とあります。この全集は2段組で、8ポイントで、それまでの3段組と
くらべると読みやすくはなっていましたが、当時の20代にとっても、けっこう読破が
厳しい全集でありました。この時、この定価は各巻720円で、一時払いという仕掛けを
利用すると全巻が66000円で入手可能になるのでした。
この一時払いというのは、当時はけっこうあったようで角川書店からでた「日本絵巻物
全集」(75年)は各巻2万円で、15冊を一時払いすると27万円とあります。
最近は、出版物の大型企画がありませんので、このような豪華な見本はなかなか見る
ことはできないように思います。
 内容見本を見ても、これが何年に刊行となったかわからないものもありまして、
これはいけませんです。講談社がそうなのかな、中谷孝雄全集の見本はA4を二つ折りに
したシンプルなものですが、10月25日発売予定とあって、この見本を見る限りでは
刊行年をしることはできないのでした。発売日は、当然のようにあるのですが、発行年が
ないのが目につきます。(吉田秀和全集、白水社も2月25日発売!とあるのみです。)
 岩波は「刊行にあたって」という文章に、年月日を表示しているようです。
筑摩書房は、パンフ印刷の日付を裏表紙にいれて表示しています。
必ず、みすずははっきりわかるところにはいっていて、これはさすが。
このような会社による違いを比較する(時代によっても違いそうですが)のも
一興です。
 もともと、内容見本は第一回配本になるまでのつなぎでありますから、このように
40年も保存されるとは、そのときは思っていなかったのかと思います。
ひょっとして、小生のコレクションで一番興味をもってみてもらえるのは、この
内容見本であるかなと袋にはいったものににんまりです。