小沢書店「Poetica」

Poetica」というのは、小沢書店からでていた小冊子のタイトルでありました。
2年くらいにわたって、全部で10冊ほどでたようです。小生のところには、
たぶん、このすべてがそろっているはずですが、この冊子は特集形式でありまして、
昨日に引きました「篠田一士」と「吉田一穂」特集号が、特に印象に残って
おります。特集でとりあげているのは、柴田宵曲であったり小川国夫、磯田光一
富士川英郎という人々で、すべて小沢書店主好みの文人たちでありました。
 「藝文往来」では加納光於のくだりに、次のような見逃せないところがあり
ました。
「 吉田一穂全集の装幀は、この人をおいては考えられなかった。全集は編集
作業に手間取り、第一巻の刊行は七年後の79年5月となった。これは装本に
関する限り、戦後の印刷技術の最高水準にあると昔もいまも思っている。
重ねて自慢するが、好事家むけの特殊な限定本を別にして、これに匹敵するもの
はない。」
 これでいる全集は、あの茶色っぽい箱にはいっている普及版ではなく、白っぽい
箱にはいっている最初の本のほうであります。あの全集は、高くて手がでなかった
ことであります。