最近の新刊のおすすめは

 このブログをのぞきにきた、古くからの友人に、もうすこし最近の本を
とりあげてはどうかといわれてしまいました。まったく、そのとおりであり
まして、ことしにはいってからの購入したリストをながめても、新刊は
あるものの、まるっきり新しいものはほとんどないのでした。
 こちらの頭が固くなっているせいでしょうか、いつからか芥川賞受賞作も
読んだりすることがなくなりました。最後に読んだ受賞作はなんであり
ましょうね。小説家で若手といえば、堀江敏幸さんのことかいというので
すから、ほとんどご隠居のようになっていることであります。
 地味な小説を愛好する小生好みの若手小説家の作品でおすすめはあるでしょうか。
  95年に安原顕が編集した「ジャンル別文庫本ベスト1000」という
ものがありまして、そのなかで堀江敏幸さんがあげている50冊の本に
よろこんで、そのあといっきに堀江ファンとなったのでした。
 ここで、堀江さんが取り上げている50冊というのは、ずいぶんと
小生にはアピールをするものですが、このリストで一番うれしいのは、
   長谷川四郎作 「鶴」    集英社文庫
   田中小実昌  「ポロポロ」 中公文庫
   小沼丹    「懐中時計」
   阿部昭    「単純な生活」
   深沢七郎   「みちのくの人形たち」 中公文庫
   山川方夫   「夏の葬列」 集英社文庫 
   神西清    「灰色の眼の女」中公文庫
なんて作品がリストアップされていることでした。

 神西清ロシア文学の翻訳家といて著名ですが、このような作品集も
残しているのでした。この集では、「雪の宿り」という作品の評判が
よろしいのですが、小生は作品集のタイトルとなっている「灰色の眼の女」が
好きでありました。この本を読んだときの小生の環境が、この「灰色の眼
の女」で書かれている舞台ににかよっていたからでした。
 堀江さんは、「灰色の眼の女」は「埴生十吉が勤務する商務官に集う人物の
寸描にきらめきを見いだすべき散文だ。」と書いています。
 なにかで、神西さんの「雪の宿り」を素晴らしいと記している人がいました
が、小生は、この作品集にあっては、「灰色の眼」の世界がいちばん、なじめた
のであります。

( あしたから、日曜日夜まで、自宅をあけます。せっかく日々更新できて
 きたブログでありますが、これは日曜日までおやすみとなる可能性があり
ます。もどりましたら、すぐ再開しますが、あしからずご了承ください。