河出「新鋭作家叢書」

 その昔に河出書房から「新鋭作家叢書」というシリーズが
でていて、杉浦康平の装幀とあわせてずいぶんと目立つもので
ありました。全部で18人の作家が、一人一冊で構成されて
いるのですが、丸谷才一辻邦生から大庭みな子、小田実まで
はいっているのです。今考えると、小生が文壇天皇と揶揄したく
なる丸谷才一まで新鋭かよとつっこみたくなりますが、昭和47年の
丸谷才一は、当然いまほどメジャーではありませんでした。
 小生のこのみでいくと、この叢書に「山田稔」さんとか、
小沢信男」さんが収録されていないのは、残念至極であり
ますが、これは候補になって落ちたものでしょう。
(「佐木隆三」ははいっていますが。)
 これの編集者は、教授こと坂本龍一の父親である坂本一亀で
ありますが、とってもきびしいセレクションに残っただけに見事な
シリーズとなったと思うのですが、このシリーズも古本やでは
けっこう安く入手できることを知ってさびしい思いをするのでした。
 この時代には、「現代日本文学の発見」という有名なシリーズが
ありまして、近年になって新装版がでたりしましたが、けっして
ノスタルジアではなしに、良いシリーズがあったのですが、
最近は、本が売れないせいか、新書ばっかしで、このような
シリーズ企画に食指が動くものがないようです。