北の無人駅から 12

 昨晩は、BSーTBSで放送のあった映画「駅 STATION」を最後まで見ることができま
した。
 当方がひいきにする今福将雄さんはほんとに登場するのかと心配をしましたが、
場面はすくないのですが、重要な場面ででて顔をみることができました。(やっぱり
録画すべきであったかな。録画してしまうと、録画したということで安心してしまっ
て見るのに集中しませんのでね。)
 この映画を見てみますと、渡辺一史さんの「北の無人駅から」の200ページを費や
している増毛駅についての二章がよくわかることです。
 主人公である高倉健さんは、陸の孤島といわれた増毛町雄冬の出身で、その親戚と
なるのが今福将雄さんと北林谷栄さんというお二人でありました。ローアングルでの
座敷をとらえ、座卓をかこんで高倉健さん、今福さん、北林さんが一緒のシーンは
よかったことです。
 このシーンのことは、渡辺一史さんもとりあげていました。
「主人公の高倉健(役名 三上英次)が、正月に故郷の雄冬に帰省したさい、母親
役の北林谷栄(役名 三上昌代)と一緒に伯父の家に新年のあいさつに行く。
すると伯父役の今福将雄が高倉健にむかって、こんなことをいう。」
 なにをいうかといえば、雄冬が道路で結ばれれば、もう出稼ぎにでなくとも生活
がなりたつので、おまえも帰ってきてはどうかという話であります。
 高倉健さん演じる主人公が生まれ育った雄冬は、ずっと海からしか訪れることがで
きないというところで、ここが道路で結ばれるようになったのは1980年のことで、
道路が開通したことにより、ここの住民の方々は一斉に自家用車を持つようになった
と報道されていたのを記憶しています。
 この映画は、雄冬でのロケーションが行われているのですが、道路がなくては、
とてもあのようなロケは実現しなかったことでしょう。
 雄冬のロケでは、かっての雄冬小学校の木造校舎がとりあげれれていました。
あの学校は今風に建て替えられてから、2002年に閉校になったそうです。 
 陸の孤島とか秘境といわれた時は、観光客が訪れたそうですが、道路が開通した
とたんに、雄冬は車で通過できる町となり、単なる漁村風景を提供するだけになって
しまいました。
 結果、学校も閉校となり、今にいたっています。陸の孤島といわれた時代のほうが
閉鎖社会で共同体の結びつきは強かったとあります。
 道路が開通したことにより、急速な文明開化のような事態が発生し、何を得て、
何を失ったかであります。