1月の購入本 5

 そういえば、鶴見俊輔さんには「もうろく帖」という著作と詩集「もうろくの春」
があるのでした。これらはSUREからでているのですが、当方はまだ購入するに
いたっていません。
 SURE目録に、これらの紹介がありましたが、そこから「もうろく帖」の紹介を引
用です。
「2010年6月25日、満88歳の『米寿』をお迎えになった鶴見俊輔さん。これを記念し
て、老年期の鶴見さんの思索と著述を支えてきた座右の覚え書ノート『もうろく帖』
を、そのまま復刻、刊行。
 手帖型の一冊に書きとめられているのは、いずれも、詩のような短いフレーズ。
古人・今人たちの著作や作歌からの、気になる一節の抜き書き。それらに触発されて湧
きあがった、鶴見さん自身の新たな発想。他者と自己ときれぎれな着想が立ちあらわれ
る。」
 たまたま本日、部屋を整理していて手にした本に次のようにありました。
「低回趣味は、日本のエッセイストのお家芸といえる。
フランスのモラリストモンテーニュは率直に語ることを常としていたし、20世紀パリ
に亡命したルーマニア人哲学者E・M・シオランは歯に衣被せることを嫌った。・・・
 唯一、日本のエッセイストだけが、それをジャンルの習慣として踏襲してきた。
『一言芳談』が説くように、『上臈は下臈に成り、智者は愚者に成り』というのがエッセ
イストの理想的な姿勢だった。
・・もまた、日本の文人としてこの趣味に長けていた。どうして食べ物のことを書くの
ですかって? 人に尊敬されないようにするためですよ。人から問われるたびに、
彼はいつもそう答えていた。
 偉大な政治家の長男として生まれるというのは、どういうことだろうか。」
 鶴見俊輔さんは、食べもののことを書いたりしませんので、これは鶴見さんのこと
ではありませんが、ちょっとみには、鶴見さんのことを書いているように思えること
です。 
 ということで、この文章が収録されているのは四方田犬彦「人間を守る読書」文春新
書でありまして、偉大な政治家の長男というのは、鶴見俊輔さんではなく、吉田健一
んのことでした。吉田健一さんと鶴見俊輔さんには、けっこう共通点があるのかもしれ
ません。