中村とうようさん追悼 7

 「フォーク・ソングをあなたに」には、「フォーク・ソング名曲30選」という欄が
ありますが、ディランの歌は、これに何曲はいっているのでしょう。
 ・ 風に吹かれて ・ くよくよするな ・ ミスター・タンブリン・マンの三曲で
あります。当方は、これらを、いずれも他の人がカバーしたもので聴きましたです。
 30選の欄ではこれらの曲のところで、中村とうようさん、和田誠司さんがコメント
をつけています。
 「風に吹かれて」に寄せた和田さんのコメントを引用です。
「 若手民謡創作者の第一人者、ボブ・ディランが発表したトピカル・ソング。社会悪
への抗議、戦争反対、民権運動などをテーマにした民謡を意味する。1962年にチャド・
ミッチェル・トリオがこの曲をとりあげ、一躍注目を集めた。また、63年、モダン・
フォーク・ミュージック界に彗星のごとく現れたユニークなグループ、ピーター、
ポール、&マリーのレコードは、一週間で十二万枚を売り上げるという記録を生み、
米国ヒット・パレード界に長い間ランクされていたほどだ。」
 この曲は、ディランの代表作ですが、ここにありますようにピーター、ポール&
マリーがカバーしてヒットしたものでありました。当方が、はじめてこの曲を聞いたの
も、このグループによるものでしょう。PPMの曲は美しいハーモニーからなって、
歌詞の意味がわからないこともあり、プロテストソングとは思えませんでした。
 「くよくよするな」も和田さんがコメントをつけています。
「 ボブ・ディランが1963年に発表したコンテンポラリー・フォーク・ソング。
 『風に吹かれて』『時代は変る』『ミスター・タンブリン・マン』同様、現代民謡
の鬼才、ボブ・ディランを代表する曲である。」
 この曲も多くの人にカバーされていますが、最初に聞いたのは覆面バンド
「ワンダー・フー(The Wonder Who?)」によるカバーでありました。これはもちろん
フォー・シーズンズ(The Four Seasons)のことでした。
 和田さんが書いておられるのを見ますと、ボブ・ディランの「若手民謡創作者」で、
「現代民謡の鬼才」なのです。フォーク・ソング=民謡という認識でありますが、
この時代のボブ・ディランはUSAの伝統的な音楽畑の若手でということです。
「ミスター・タンブリン・マン」へはとうようさんがコメントを寄せていますが、
それには、次のようにあります。
「1965年六月〜七月ザ・バーズのレコードでヒット・パレード首位に進んだこの曲、
いうまでもなくボブ・ディランの作品である。
 1964年に作曲。これがフォーク・ロックというジャンルを確立した形になった。
『ヘイ、ミスター・タンブリン・マン、一晩中そのタンブリンのビートで俺をしびれ
させてくれ』というもので、ニヒルな感じが強い。」
 フォークからロックへは、タイミングとしては、ディランが1965年のニューポート・
フォーク・フェスティバルで、曲としては同年の「ミスタータンブリン・マン」と
「ライク・ア・ローリングストーンズ」のヒットでありますね。