小沢信男著作 16

 小沢信男さんの「赤面申告」(朔人社刊)は、小沢さんにだした小生のファン
レターにお返事をいただいたとき、近刊でこのようなものがありとご案内があった
ものです。
これの前にでた「若きマチウの悩み」が新刊で購入した最初のものですから、この
73年9月以降、小沢さんのものは新刊で求めておりますので、ファンとしてはそこ
そこ年季がはいっています。
 小沢さんの詩は、なかなか眼にすることができませんが、詩集「赤面申告」の
跋文となる長谷川四郎さんの「赤面後記」に引用されている詩と詩集のタイトル作品
を以下に引用することといたします。
 まずは、長谷川四郎さんが後記で引用している作品「夕日の波止場で」(冒頭に
おかれたものです。)

  夕日の波止場で
 
  ふりかえると
  ながいながい影法師
  じつにほそくて ひらべったい
  あの髪ふりみだした頭のやつは
  やはりぼくの頭だろうか
  つきあいきれない遠さだなあ


  赤面申告

   1
  どうして生きているのか
  死ぬのがそら怖ろしいから?
  生きたい気持ちで一杯だから?
  いやいや じつは
  ぼくはぼくにもお構いなく
  とりあえず生きているようなのだ

   2
  とにもかくにも生きてきました  
  日毎に恥をかさねてきました
  これがわたしの財産です
  みんな あなたにくれてやります

     
  新聞のTV欄を見ていたときに、番組のコーナータイトルで「赤面申告」と
いうようなものを眼にしたことがあります。この「赤面申告」というのは、
ありそうでなかった四字熟語でありまして、この小沢さんの詩集で使われた
のが、最初でありましょうか。