今月のはじめに、このまちにあるブックオフに立ち寄りましたら、八木義徳全集が
セットであるのを発見しました。しかも値段は、破格に安いのです。これはどうした
ことがと、そのときはちょっと考えたのですが、小生よりももっと、この本を探して
いるひとが出会って購入するのが一番と見送りをいたしました。
そして、先週末にブックオフへとよりましたら、この全集がまだ売れることもなしで
残っていたのでした。なんともはや、これは小生に購入するようにとの啓示ではないかと
全8冊を買い物かごにいれて、レジへとむかったのでありました。5千円でお釣りが
ありましたので、べらぼうな話です。
昨日までは長谷川四郎さんについて記しておりましたが、四郎さんは1909年の
函館生まれで、八木義徳さんは1911年室蘭市生まれですから、どちらも同じ頃に
北海道で育っていたことになります。
八木さんの全集の月報には、北海道にゆかりの作家などが文章を寄せていますが、
北海道出身の作家にとっては、ある時期まで、道産子で芥川賞を受けているというのは、
八木義徳さんだけであって、そういうことからは、目標とする作家であったといえます。
八木さんは、出身地 室蘭市の名誉市民となっているだけに、室蘭市との関わりが密で、
全集をひらいても、あちこちに室蘭市を題材にした作品をみることができます。
八木義徳さんの、この全集は「田村義也」さんの装幀で、これがとってもよろしいので
ありました。「ゆの字ものがたり」(新宿書房)を見ても、八木義徳全集について
ページをさいていました。
そのむかしに、東京で働いていたとき、北海道出身の人と知りあいましたが、彼は
北海道に本拠が在る会社の東京オフィスに勤務していました。その彼の奥さんが、
カルチャーセンターで小説作法を学んでいたとききましたが、そのセンターの講師が、
八木義徳さんでありました。いまから20数年前のことでありますが、そういう小説家が
いることは承知しているものの、作品を手にしたことはありませんでした。
八木義徳さんというと、知人の奥さんが師事していた小説家という認識が、できあがって
しまいました。数年まえに、40代半ばくらいで、この奥さんが亡くなったという知らせを
聞いてから、ずっと八木義徳さんの小説は読んでみなくてはと思って過ごしてきました。
昨年の「ゆの字ものがたり」に続いて、今回の発見でありますので、自宅に本の置き場所が
なかったとしても、買うしかないとは思いませんか。