誰が買うのかな

 ここのところの出版業界で話題というと「広辞苑」第七版がでたことでしょうか。
 当方のところにも何冊かの「広辞苑」があるのですが、そのうち当方が購入したの
は、ずいぶん昔に購入した「広辞苑」(たぶん、第二版のはず、親から「広辞苑」を
買いなさいと金をもらい、それで「広辞苑」の安価な古本を買い、差額で小説本など
を買ったことを思いだします。)でありますが、亡父が遺した「広辞苑」も何セット
かあります。
 亡父は辞書をひく習慣があったのですが、その息子といえば、さっぱりでありまし
て、亡父の遺した机上版「広辞苑」も豚に真珠であります。
こういうことではいかんと思うのですが、「広辞苑」七版がでても、さっぱり気持ち
が動きません。
 今回の「広辞苑」第七版の売り上げ目標は、「本の雑誌」1月号によりますと20万部
だそうですが、これまで一番売れたのは第三版で260万部とのこと。それにしても、
ずいぶんと市場は縮小していることです。(先日に、岩波がテナントビルを小学館
売却したとニュースで報じられていましたが、第七版が200万部も売れるのであれば、
テナントビルを売らずに済んだものをです。)
 最近にみた本の広告で、これはどのような人が買うのであるのかと思ったのは、次
のものとなりです。
 

向坂逸郎評伝(上巻)1897~1950

向坂逸郎評伝(上巻)1897~1950

 いまでは向坂逸郎の名前を見ることもなくなりましたので、ほとんど忘れられてい
ると思っていましたら、この方を中心にすえて、歴史を書く人がいたのですね。
どのような方であるのかと思って、社会思想社のページをみましたら、学者ではなく
て、向坂さんの影響下にあった社会主義協会などで活動をされていた方のようです。
 その昔の労働組合には社会党左派というか社会主義協会の学習会がありまして、そ
の学習誌を購読している人がいたものです。
 社会思想社のページにある広告には、この本の紹介として次のようにありです。
「大正〜昭和にかけマルクスに人生をかけた人々の姿を浮かび上がらせ、近代日本の
政治・思想史を照射する。
東京帝大助手から社会主義諸派の論戦華やかなドイツに留学しマルクシズムを研鑽。
九州帝大に職を得て間もなく「赤化教授」として追われ、世界初の『マルクス
エンゲルス全集』を編纂。論壇では労農派の雄として活躍。人民戦線事件で獄に
繋がれ戦時下を馬鈴薯で生き抜いた。
櫛田民蔵、山川均、猪俣津南雄、大森義太郎、山田盛太郎、宇野弘蔵との切磋琢磨は
活気に満ちたマルクス派の群像を活写し、自由主義論争は暗い時代のインテリの空気
をうかがわせる。戦後は『資本論』翻訳とマルクス経済学の彫琢に傾注しつつ、山川、
鈴木茂三郎荒畑寒村らの激動期の模索に関与。社会党揺籃期の秘史でもある。」
 こうした時代に関心を持つという人は、学者さんを別にすれば、すくなくとも70歳
くらいになっているでしょうか。