庫田叕さんと富士正晴さんの関わりについて、どうすればわかるかなと思って本を
手にしています。今のところ、まるでわかっておりません。富士さんの本では「書中
の天地」に手がかりでもないかと思うのですが、本日はこの本にたどりつくことが
できていません。
庫田叕さんは、本名は倉田哲介というのだそうですが、これで検索をかけましたら、
ご親戚の方のページに、ご兄弟には日立の倉田主税さんがいるとありました。なんと
まあであります。日立の倉田さんにはなじみがありませんが、そのご子息は古山
高麗雄さんの「悪い仲間」のおひとりではないですか。古山さんとは予備校で一緒で
ありまして、古山さんの小説にもモデルで登場するのでありました。
倉田を庫田として、名前も読むのがむずかしい叕(てつ)としたのは、実業界に
進んだご兄弟との関係を見えにくくするためなのでしょうか。
本日はお天気がよかったので、物置にはいって本をさがしていましたが庫田叕さん
装幀になるものを、何冊か手にすることができました。
- 作者: 竹内勝太郎
- 出版社/メーカー: 明窓書房
- 発売日: 1948
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「詩集『明日』の意義、価値などについてはここに言はない。といふわけはそれは
これから再び決定され量られるべき性質のものだからである。野間宏、井口浩爾君
などと詩集『明日』について語り合ったことも色々思ひ起すがそれも言はぬ。現在の
ところ僕は執拗な竹内勝太郎出版自称責任者として、この上梓をよろこび、これに
ついての世間の反応に注意深くありたいと思ふだけである。版元の谷口武彦氏はいさ
さか竹内勝太郎氏と間接の関係のある方であるが、かうした良心のある出版者を得た
ことは竹内勝太郎氏の死後の清福とも言ふべきであらう。
装幀は最も良く詩を理解する誠に稀有な油絵画家庫田叕氏にお願ひした。これも僕の
或る考へからである。」
富士さんが「或る考へからである」と記しているのですが、これはどういうこと
なのでしょう。
この時から8年ほどして富士正晴さんは「贋・久坂葉子伝」を筑摩書房から出す
ことになるのですが、初期の富士さんのものは庫田叕さんの装幀となっているよう
です。