ということで、本日も上野千鶴子さんの「アンチ・アンチエイジングの思想」
から話題をいただくことになりです。
上野さんは、ボーヴォワールの「老い」を読むなかで、老いにたいする考察
をすすめていくのでありますが、当方は、その上野さんの文章をつまみ読み
しながら、目についたところをメモしていくことになりです。
「老人は聖人か」としてのは、もちろんそんなわけないでしょうということで、
上野さんの文章を見ることにです。
「ボーヴォアールは『老い』のなかで『老人と性』について特別に章を割いて
いない。だが性についての記述はいたるところに散見される。」のだそうです。
「権力や金銭に対する老人の欲望は理解され、許容される。だがとりわけ
性欲は老人に禁止される。なぜなら老人はその資格を失うからだ。」
このあたりは、ボーヴァワールが若かった時代の認識でありましょう。
最近の認識については、上野さんが次のように書いています。
「大学でハラスメント防止委員を務めた経験からいえば、今日の六十代の男
性が、シャトーブリアンのような自省を持つとはとうてい思えない。彼らは厚顔
にも年長の指導者に対する若い女性の敬愛を、性的な好意ととりちがえ、権
力勾配を利用してノーと言えない相手に性的な接近をするからだ。
これをセクシャルハラスメントと呼ぶまでには、フェミニズムの闘いが必要だっ
た。」
なかなか声をあげにくい環境のなかで、アカハラ+セクハラは進行するの
でありましょう。大学に限っていえば、男性教師のほうが圧倒的に多いであ
りましょうから、女性の学生は、師への尊敬を、愛情と受け取られないように
しなくてはいけないようです。(これまた、女性が好意と受け取られるような
振る舞いをするから悪いのだといわれそうなことで。)
昨年に話題となった映画「敵」にも、そのように受け取られかねないシーン
がありました。たぶん、主人公を演じた役者さん(長塚京三)は、あやういとこ
ろで踏みとどまったのであろうと思うのでありますが、真実はどうなのであり
ましょう。あの主人公さんは奥様に早くに亡くされて、それからは優雅にも思え
る単身生活を過ごしているのですが、内面はけっこうどろどろしているので
しょう。彼にしても聖人ではありませんです。
この「老人と性」という章には、こちらが高齢者となっていることもあって、
いろいろと興味深いことがいっぱいありですが、まあ、これは本を手にして
読んでもらうのが一番です。
このなかに次のようにあって、当方は、これまでそのことになんの不思議も
感じなかったのでありますが、フェミニズムの立場からは、とんでもないことに
なるのですね。
「よく対比されるように、日本において低用量ピルの認可に約45年かかった
のに、バイアグラの認可が半年で下りたことは男根政治と言ってもよいくらい、
象徴的な出来事だった。」
低用量ピルというのは、1970年代には中ピ連なる組織の活動もあって、
女性中心に盛り上がったのですが、まったく相手にされなかったのであり
ましょうね。バイアグラは販売開始が1998年で、日本での認可は1999年で
すから、これは信じられないくらい早いことです。
その背景にはなにがあるのかと上野さんは怒っているのですが、ピルは
もっぱら女性が、バイアグラは男性がというので、わかりやすいのですが、
男性はこの認可にかかる期間を問題にすることなく、女性だけが問題視する
のは、おかしかないかです。
