今月11日(土)の夜に放送があった「沼ハマ」は、「ジャズの世界」であり
ました。小学生、中学生でジャズにハマって、将来はプロになりたいと修行し
ている子どもたちが取り上げられていました。
50年代にロックンロールがでてくるまで、若い人が好む洋楽といえば、
ジャズとかウェスタンでありましたからね。日本でも若い女性が熱狂した
ステージは、ウェスタンカーニバルという名前だったり、ジャズ喫茶という名の
ライブハウスだったりしましたからね。
当方にとっては、そんな昔の話とは思えないのですが、すでに70年も昔の
ことです。当方よりも七つ八つ上のジャズ愛好家は、十代のときにアート・
ブレーキーの来日公演を見て、それからずっとジャズファンと言っていたもの
な。あの頃は、外国からのミュージシャンの公演は、そんなに多くなかったこ
とであります。
現在読み続けている「エリック・ホブズボーム伝」を読もうと思ったのは、歴
史家であるホブズボームがジャズ評論を手掛けていたと知ったこともあって
です。ケンブリッジ歴史学教授で、マルキストとジャズは、どのようにつながる
のかであります。
このことは、下巻に入ってまもなく登場します。
「共産党を家族の代わりにすることができなくなったエリックは、ジャズの世界
にその代わりとなるものを見出した。1950年代中葉以降、ジャズマニアや演奏
家たち、そして彼が『ある意味、地下に潜った国際フリーメイソンのようなもの』
と読んだ、固く結束した人々のグループとともに、これまでにないほど非常に長
い時間を過ごした。ジャズ愛好家は、『主流を外れた文化を愛好する人々のなか
でもさらに少数派で、たいていは社会的に追い詰められた集団』であると彼は
思った。・・・ジャズを聴くことは、歴史と政治を考究する知識人の過酷な世界と
は好対照に、エリックにいつも安らぎを与えた。」
ホブズボームは、まずはBBCラジオで解説を担当するのですが、そのときに
特集したのはルイ・アームストロングであり、ベッシー・スミスとありますので、
当時としてはちょっと前のジャズを通して普及活動をしようとしてようです。
その後には、ペンネームを使って「ニュー・ステイツマン」にジャズ評論を書くよ
うになるのですが、どちらかというとモダンジャズにきびしいきらいがあります。
「エリックは、ディジー・ガレスピーの見事な演奏技巧を賞賛しながらも、伝統的
なジャズと正反対にモダンジャズは『大衆的アピールから逃避した』少数派が
好むものになっていると考えた。」
マイルス・ディビスとかセロニアス・モンクに辛くって、これはちょっと受け入れ
られませんですね。
そんななかで、次のようにあるのはいいぞいいぞと拍手です。
話題は、「女性歌手の失墜」に関してのものとなります。
「『大衆は女性の歌に耳を傾けようとしないのである』。唯一、サラ・ヴォーンだ
けが戦前の偉大な女性ジャズシンガーに匹敵するところまできた。もっとも
エリックは、ゴスペルシンガーのマヘリア・ジャクソンやイギリスの若い世代の
ジャズシンガーでいまだ公には認知度の低かったアニー・ロスのことも高く評
価していた。」
当方はジャズからスタンダードを歌う女性歌手は大好きでありまして、もち
ろんアニー・ロスが参加した「ランバート・ヘンドリックス・ロス」のレコードも
持っておりますです。
このようなジャズに関する文章を集めた「ジャズシーン」という本は、日本で
も翻訳がでたとありました。これは知りませんでした。(今は新版となっている
ようです。)


