一足早くにクリスマスプレゼントが届くことにです。
届けてくれたのはサンタクロースならぬ配達人さんで、玄関のドア前に
そっと置かれていました。(なんと置き配でした。チャイム押してくれたら、
でて行ったのに。)
プレゼントは、次のものとなり。
このアマゾンリンクの書影では、この本の仕掛けがよくわかりませんので、
本のカバーをはがして、本体とカバーをならべて写してみることにです。

本体はソフトカバーの二色で、それに黄色のカバーがかかっていて、二箇所に
窓が空いてます。左の窓には縦書きのタイトルが現れ、右の窓には時計台の時計
部分がでてきます。(丸谷才一さんのエッセイなどは、和田誠さんが担当すること
が多かったのですが、もちろん、和田さんも亡くなっていますので、それは叶わぬ
ことで、装画は加藤千歳さん、装幀は新潮社装幀室となります。)
この装画は、表題作である「今は何時ですか?」におかれているエピグラフにち
なんでいます。
「ロシア人がロンドンの街を歩いてゐて、向こうから来た人に訊ねた。
『今は何時ですか?』
すると相手は、
『そんなむづかしいこと、私にわかるもんですか』
と答えて通りすぎた。おや、変だなと思って、考へてみると、彼はついうっかり、
『時間とは何ですか?』
と言ったのだった。」
上のところから表紙の絵をみましたら、カバーにはない二人の男性がでて
くるのですが、はてどちらがロシア人のほうでしょうか。
このエピグラフについて、丸谷さんは、「題名の由来である笑ひ話は、G・
J・ウィットロウ『時間その性質』(柳瀬睦男・熊倉功二訳)によるが、わたしの
言葉に書き直した。」とあります。
この表題作となっている「今は何時ですか?」は、当方偏愛の小説であり
まして、これまで丸谷全集と初出の「新潮」でしか読むことはできなかったの
ですが、こうして「生誕百年記念出版」として世にでたのは、たいへんめでたい
ことであります。
帯には、「<失踪した恋人の鎮魂のために女性作家が書いた小説>が読者
を魅了するモダニズム文学の傑作『今は何時ですか?」とありです。
帯の表には、「知られざる傑作」ともあるのですから、それであれば、もっと早く
に容易に読めるようにしてくれればです。
現在手にしている池澤夏樹さんの「語る自伝」には、「丸谷さんの『笹まくら』
は、二つの時間の間に二階建ての建物を見事につくったような、完璧の名作
ですよね。『樹影譚』も『横しぐれ』もすばらしい短編。・・・丸谷さんは都会の
モダニズムが好きだったし、陰謀を小説するのにも闘志を燃やした。そして彼は
常に中央、中心をめざす。明らかに京に上りたかった。本人を直接、からかった
ことがありました。」
どのようにからかったかは、「語る自伝」の146ページからをご覧くだされです。
池澤さんが丸谷小説集全一冊を編むとすれば、上の三作なのでしょう。
当方も、丸谷さんの後期の長編小説は、ほとんどどうだまいったかというような
気合しか感じずで、ほとんど読み返すことはなしでした。
それとくらべると、「今は何時ですか?」のような短編は、まだまだ素直に読む
ことができることです。
これまで単行本化されなかったこともあって、当方はずいぶんとあちこちで
「今は何時ですか?」を話題としておりました。まあ、当方のへたな紹介を見る
よりも、今回の単行本を手にしたほうが、ずっと楽しいことです。
