何十年かたったら

 本日の朝に購読している新聞を見ましたら、トップに「スポーツと政治接近

祭典に影」との見出しがありです。写真には「国際サッカー連盟がトランプ氏

に『平和賞』」とありまして、これが「スポーツと政治接近」ということのようです。

 何をいまさらでありまして、スポーツと政治というのが密接に関わっているの

は、国別対抗戦の場合は、ほとんどの場合がそうでありますね。なにせ武力を

行使せずに国力を競う戦争のようなものでありまして、その昔のモスクワ、

ロサンゼルス、ベルリン、中止となった2600年記念の東京大会などの五輪

大会のことを思いだせば歴然です。(前回のロス大会で1984年のことです。)

 そんなに昔のこととは思いませんが、ほとんどの人はそれを忘れていると

思っているのかな。

 ということで、何十年か経ったら、この時代のことはどのように語られるので

あろうかと思うことです。ロス大会とかモスクワ大会のというのは、ちょうど冷戦

の終盤戦でありまして、それからまもなく旧ソ連は解体することになりです。

ベルリンの壁がなくなって、東西ドイツが一つになって、今にいたっています。

 まさかでありますが、あの頃に現在の揺れるヨーロッパのことは思ってもみま

せんでした。ついでにいえば、日本でもこれまででいけば、極右とも思える政権

が誕生したり、ネットの影響で選挙が大揺れしたりで、長く生きていれば、いろ

いろな経験をすることであります。

 「日の下にあたらしきことなし」でありまして、こういう時には、古い時代のこと

を書いた本を読むにかぎります。

現在、読みすすめている「ホブズボームの評伝」は、ナチスが勃興しようという

ウィーンからイギリスへと移動するユダヤ人家族のことになりで、第二次大戦下

においては、さらにイギリスからチリへとわたっていく人もいることです。

最近に難民となってEU内で生活している家族からも、歴史に名を残す人はいる

のでありましょうか。

 国内のものでは、森まゆみさんの「暗い時代の人々」を読んでおります。

(元版は2017年亜紀書房、当方が手にしているのは朝日文庫版)

 この文庫が刊行になったときにも、すこし話題にしておりました。この本の

タイトルは、ハンナ・アレントのものから借りたものになります。

ハンナ・アレントとくらべると、森さんの本のほうがずっと読みやすい。なにせ

ハンナ・アレントは暗い時代を生き延びた人でありますし、森さんはどうこう

いっても戦後の人でありますから。

 森さんは、「暗い時代」のことを「満州事変(昭和6年)勃発から太平洋戦

終結(昭和20年)にいたるまで」と言っています。

「その時、人々は何を考えていたのか、どこが引き返せない岐路だったのだろ

うか。」ということで、その時代を流されずに生きた人を取り上げています。

 森まゆみさんは、九人を取り上げているのですが、そのうち女性は二人と

なり、それについて、次のように記しています。

「ここまで書いてきて、わたしはふと、女性は山川菊栄しか取り上げていない

ことに気がついた。もう一人誰か書きたい。その山川と同い年の九津見房子

を思いだした。

 九津見は山本宣治に協力して、当時の夫・三田村四郎とともに産児制限

運動の宣伝隊を務めてうる。戦前、戦中を通じて、弾圧と戦い続けた人であ

る。しかし山川のように、戦後、活躍する舞台は九津見にはなかった。」

 山川菊栄さんとくらべると、うんと知名度の低い九津見さんでありますが、

数年前に九津見さんについての本を図書館から借りて読んでおりました。

ほとんど内容は忘れているのですが、中身は忘れていても読んだことは記憶

に残っておりました。