没後20年になるのか

 本日は午前はトレーニングへと行って汗を流し、戻ってからはパイ生地の

仕込み(明日にアップルパイを焼きあげる予定です)をし、そのあとは本を読ん

で過ごしていました。

 本日までに返却をしなくてはいけない四方田犬彦さんの本をできるところま

で読んでしまうことにです。まずまず読むことができて、すこし残ったところは、ま

た借りて読めばいいかなと思うことで、薄暗くなる前に、近くの分館まで返却に

行くことになりです。

 そのあとは、すこしとまっていた皆川博子さんの「聖女の島」を読んでしまう

ことにです。全体の半分とすこしが残っていましたので、すこしピッチをあげる

ことにしました。

 半分くらい読んだところで、これが意味するところは、こういうことなのだろう

かと見当をつけてみたのですが、読み進むにつれてあたっていないことに気が

つくことになります。

 それにしても、このちょっとわかりにくさが皆川博子さんの世界でありますね。

読んでいる講談社文庫の解説は綾辻行人さんは、「皆川博子は、恐ろしい作家

なのである。」と締めていますが、ほんとにそうですね。

 綾辻さんの解説から、すこし引用です。

「『聖女の島』は88年8月に講談社ノベルスより刊行された書き下ろし長編

なのだが、この作品のあと皆川さんは、現代物の長編を一つも書いておられな

い。時代物の方の仕事が忙しくて、ということだけれど、時代小説音痴の僕に

とっては少々寂しい話である。」

 この解説が書かれたのは1994年とありますので、その時には皆川さんは

時代小説家であったのですね。たぶん、皆川さんが好んで書きたかったのは、

このような路線であったのでしょうが、なかなかそのような機会には恵まれず

で、1997年になって「死の泉」までファンは待つことになったのでしょう。

 この作品を読んでいた、あらまこれはと思ったのは、物語が始まってまもな

くのところに登場する、次の詩であります。

「姉は血を吐く 妹は火吐く

  可愛いトミノは宝玉を吐く

  ひとり地獄に落ちゆくトミノ

  地獄くらやみ花も無き

  鞭で叩くはトミノの姉か

  鞭の朱総が気にかかる 

  叩け叩きやれ叩かずとても

  無間地獄はひとつみち  」

 この小説が終わったところで、皆川さんは、「文中の詩は、西条八十トミノ

の地獄』から引用させていただきました。」と記しています。

 おお、久しぶりで「トミノの地獄」を目にしました。

 当方が、この詩のことを知ったのは、久世光彦さんの「怖い絵」の冒頭にお

かれている「姉は血を吐く 妹は火吐く」という短編小説(なのかエッセイな

のか)でテーマに使われていたからであります。

 久世さんは、この詩(「トミノの地獄」)について、次のように書いています。

「大正八年に出た西条八十の第一詩集『砂金』の片隅に収められたこの詩

は、他の詩ほど世に知られていない。たとえば詩人の生涯の業績の中から

選んで、抄本とか選集を編纂したとして、『トミノの地獄』が入ることはまず

ない。けれど知っている奴は知っているもので、死んだ寺山修司の・・・」

 ほんとに知っている人は知っているもので、皆川博子さんもそうしたお一人

であったようです。

 「怖い絵」はおすすめの本でありまして、この表紙絵は今年が没後50年

となって大回顧展が開催されている高島野十郎であります。

 そう思っておりましたら、久世光彦さんが亡くなって、そろそろ20年であると

知りました。以前はブックオフでもずいぶんと久世さんの本を見かけたもの

ですが、最近はさっぱり目にしないことで、久世さんのものは見かけたら

買いでありますよ。