版元の話であるか

 NHKの日曜ドラマ「べらぼう」は主人公を蔦屋重三郎としていますので、

江戸の版元の話でもあります。いまのところ、吉原のガイドブックを企画して

出しているのでありますが、これからは浮世絵とか黄表紙などを出していく

ことになるのでありましょう。

 本日に放送のあった回のおしまいのところで、岡山天音さんが演じる倉橋

格こと恋川春町が登場してきます。倉橋格は駿河小島藩の武士でありますが、

その傍ら戯作者として活動することになり、いまは侍であったことは忘れられ

て、戯作者恋川春町として知られています。

 その昔は井上ひさしさんが、戯作者とか黄表紙というのをとりあげて小説を

書いていて、小生も江戸の侍で、それこそサブカルチュアの世界で有名になった

人についての本を買っていたことを思いだしました。

 ということで、本日は物置にある書棚からひっぱりだしてきた本の話題です。

 著作集の普及版が刊行となったのは1973年とありますので、わけもわからずで

購入して大田蜀山人などのところを、すこし読みました。

 本日も恋川春町の前に、蜀山人のところを読んでみました、蜀山人の日記を紹介

するところに、次のようにありました。

「 九日、晩晴。菅江、嘉十と同じく土山せん之に陪して吉原に遊んで、茶屋尾張

で花を観た。・・菅江は袖芝を、南畝は一おうを呼ぶ。夙起して菅江と書肆耕書堂で

宴する。午後、耕書堂の雇ってくれた駕籠で家に帰る。

 耕書堂は蔦屋重三郎、狂名を蔦唐丸といふ。吉原大門口に在って、吉原細見

売り捌いてゐた書肆である。」

 べらぼうの主人公と当時の人気者大田蜀山人の交流のところです。

 恋川春町は、これからドラマに登場するのでありましょうから、この先のことにつ

いては、見てのお楽しみとなりですが、恋川春町の作品への森銑三さんの評価で

あります。

黄表紙は江戸に生れて、江戸で刊行を続けられた江戸の郷土文学である。その

刊行は安永から文化まで、三十年に亙ってゐる。そしてこの文学は、上方には

つひに移植せられなかった。そこに黄表紙の大きな特色があるともいはれよう。

 春町の黄表紙には、単純のよさともいふべきものがある。後の職業作家達の

やうに、これでもか、これでもかと、しつこく立ち廻ることをしない。どこまでも

おっとりとしてゐて、よい意味に於ける檀那藝ともいふべき趣がある。すぐれた

黄表紙作家は相当にあるが、品格は春町といってもよからうかと思ふ。」

 森銑三先生は、恋川春町の人物と作品おっとりしてよいと評しているのですが、

岡山天音さんのファンは演じる人がいい役で、ほっとすることでありますね。