一年分をとりだしてみた

 昨日の筒井康隆さんのTV番組の見たおかげで、新潮社「波」に寄稿し

ている筒井さんの過去分を読み返してみようかと思いました。それに楠瀬

さんの「編輯後記」についてもです。

 数日前に、「波」は隣家へと動かしたのですが、そこへといって、箱に

入れられているところから、取り出してくることにです。

筒井さんの連載は、一度は読んでいるのですが、すっかり忘れていることで

す。虚実(?)まぜての日録のようになっていて、読んで楽しいのです。

 2023年12月号の最初の一行は、次のようになっています。

 「おれの書くことはあまり信じない方がよろしい。」

 これは飲酒とか喫煙に関してであるようですが、まあそれ以外のところでも、

そうしてもらいたいと思っているところはあるのでしょう。私小説作家から

遠いところでずっと活動をしてこられて方ですからね。

 バックナンバーを見ていましたら、今年の5月号にNHKの取材が登場します。

「13日(3月のこと)。NHKの制作会社から高越さんが来て何やかやと聞いて

帰る、おれの特別番組作るらしい。」

 これが、11月に放送となるNHK筒井康隆の世界」につながっていくのであ

りますね。筒井さんは神戸と東京の二重生活となっていますが、この制作会社

の訪問を受けたのは、神戸であったようです。

 この5月号(内容は3月の日録)の翌月から休載に入ることになります。

休載についてのアナウンスは、まったくなしですので、ファンはどうしたのかなと

思って、あの生活が続いていたら、体調を崩すよなと勝手に思い込むことので

すが、それが明かされたのは、連載再開となる10月号の誌上でありました。

「そして今回のわが災難でそうした楽しい慣習(新潮社などの編集者などとの

交流)も絶え、寂しい入院生活が4,5ケ月続いたのだが、やっと現在のこの施

設に脱出、夫婦水入らずの生活に戻ったのは嬉しい。

 ここはグッドタイムリビングという完全介護の老人用施設であり、食べ物も

美味だ。先日は楠瀬、佐々木両氏がオリエンタルホテルへ連れ出してくれ、

うまい中華を光子ともどもご馳走してくれた。またNHKから派遣された日下

三蔵にもインタビューを受け、以後も『週刊ポスト』だの何だのから取材され

ることになっている。」

 この10月号は、久しぶりの再開でありまして、これまでの日録風のものから、

「新潮社とのおつきあい」というタイトルで、作家になってからの新潮編集者と

のお付き合いが記されていて、最近に新潮社を代表してお付き合いしているの

は、「波」編集長の楠瀬さんということがわかります。

 そうであったのですね。今年の二月には「百年の孤独」文庫版のための解説

を書いて、三月にはNHKの取材を受けて、その後に入院生活をおくって、退院

後は介護施設で暮らしているということがわかりました。

 このようなことを確認したのは、先日のTVドキュメントをみましたら、体調の

変化が見てとれたからでありますが、夏を越すのもたいへんでありましたで

しょう。

 先日の番組では、気が付かなかったのですが、日下三蔵さんのインタビュー

というのは、この番組のためのものではなかったのかな。番組には日下さんは

登場しなかったのではないかな。

 この連載は、どこかの時点で一冊にまとまるのでしょうが、今のところ連載は

16回目でありまして、せめて20回目までは行ってくれと思うことです。

 昨年の「波」11月号の表紙には、筒井さんの筆跡で「プレイバックはカーテン

コールのあとで」と記されて、「カーテンコール」というのは筒井さんの小説の

タイトルではありますものの、なんとなく意味があるように思ってしまいます。