「天正九月九日は九が三つ並ぶ。そのせいではなく、単に重陽の節句を祝っ
てだろうが、この日、獅子舞とややこ踊が大内に召された。」
当方が毎年重陽の節句となる九月九日に話題とする丸谷才一さんの短編
小説「今は何時ですか?」の書き出しとなります。
ネットを見ていましたら、本日は「昭和九十九年九月九日」になるのだそうです。
昭和は、当方には一番なじみの深い元号でありまして、西暦への換算も容易で
ありますから、昭和でいうと九十九年といわれると反応してしまうのですね。
特に、「九が四つも並ぶ」のですから、話題にしなくてはいけませんですね。
当方は、この場のあちこちで「今は何時ですか?」に言及しているのですが、
この短編小説は当方の偏愛作品であるのですが、相変わらずで全集には収録さ
れているものの、ちょっと読むのに苦労してしまうので。丸谷さんのちょっと売れて
話題となった小説よりも、丸谷さんは中編から短編のほうがおすすめなんですよ
ね。
たまたま新潮社「波」9月号の編輯後記では、めったないことに、この作品のタイ
トルが話題となっていました。
野坂昭如さんがあげるタイトル上手な作家さんのなかに丸谷才一さんがいると
紹介して、編集長はこれにのっかる形で、丸谷さんの初期と晩年作から名タイトル
を選びます。初期作から「エホバの顔を避けて」と晩年作からは「今は何時で
すか?」をあげているのですが、大半の人には「今は何時ですか?」はどんな作品
となること必至です。
「今は何時ですか?」の初出は「新潮」なわけですから、「丸谷才一短編集」と
いうタイトルででも、文庫化してほしいことです。
これを簡単に読むことができるのは、丸谷全集だけというのはちとさびしいことで。

