あれこれとつまみ読み

 ずっと図書館から借り続けている本のうち、返すものは返すということで決め

てしまわなくてはです。

 そんなわけで、今週末の期限にあわせてとりあえずさっとページをめくるもの

はめくっとしまわなくてはです。

 たぶん、一番ながく借り出しているのは、赤染晶子さんの小説集でありまして、

これにはうんと苦戦をしてることです。結局のところ赤染さんにとっても、この

作品集が最後のものとなったのですが、うち二作は比較的早くに発表されたもの

で、この初期系の作品が難解なのでありますよ。(絲山秋子さんが絲山賞を贈った

のと同じ系譜の作品)

 赤染さんのエッセイ集が読まれるようになって、この流れの小説も読まれるよう

になるのでしょうかね。

 あとはくぼたのぞみさんの「山羊と水葬」を手にしておりました。くぼたさん  

は一学年上の方で、出身大学の学科には、当方の高校同学年の外国語大好き少年

が進学していました。それこそこちらは基地の街で、いまだ米軍兵がいた時代で

ありまして、そうして兵隊と会話をして英語力をつけていた彼がです。卒業後は

大学教員となってフランス語と言語学の講義を担当していたようです。

くぼたさんとは同じ北海道ということで面識はあったのだろうかなと思いなが

ら、くぼたさんの本を読んでいましたが、どうも、語学マニアの彼とは趣味が

違いそうであります。

山羊と水葬

山羊と水葬

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 女性ばかりの三冊目(ほんとうは、これに皆川博子さんの本がはいるのですが、

それは割愛)は温又柔さんの「私のものではない国で」となります。

 先日に李良枝さんの文芸文庫版を購入したのも、最近に温又柔さんが李さん

のセレクションを編集したことも関係がありです。

 温又柔さんのこの本では、何をおいても李良枝さんについて書かれた文章を

読んでしまわなくてはです。

 「『不自由さ』のなかで書くこと 李良枝没後三十年に寄せて」というものに

なります。

 これの書き出しは、次のようにです。

「五月になると、必ず李良枝の小説から一篇か二篇読み直す。七百枚にも及ぶ

分厚い一冊からなる『李良枝全集』(講談社)を書棚から引っ張り出すことも

あれば、箔押しの『由煕』と『ナビ・タリョン』の文字が眩しく表紙を飾る

講談社文芸文庫を捲るときもある。

 李良枝の祥月命日は五月二十二日である。」

 先日に講談社文芸文庫版の「石の聲」を購入したのですが、祥月命日が22日

というのは、頭に入っておりませんでした。まだ間に合う、すこし「石の聲」を

読んでみることにいたしましょう。