図書館から借りている本の返却期限は、すぐに来ることです。二週間というの
は、小学校に通っていた年頃には、そこそこ長い時間でありましたが。(もっと
も夏休み期間の二週間はあっという間でありました。)
明日に期限をむかえるのは、1930年お生まれの皆川博子さんのエッセイ集
「随筆精華」と、その娘さんという年恰好の山尾悠子さんの「迷宮遊覧飛行」で
あります。
皆川さんのエッセイ集には、「空想書店 偏愛する幻想文学限定」というのが
収録されていまして、そこには次のようにありました。
「昨今、書籍の売れ行き不振が嘆かれていますが、幻想文学を偏愛する読者はも
ともと人数が限られています。正確な統計は知らないのですが、発行部数から推
察すれば、ほんの一握りでしょう。しかし、途絶えることは、この先もないと思
います。その一握りを大切にする出版社も幾つかあって、海外の優れた作を供給
してくださっています。」
このように書かれている出版社の一つは、「国書刊行会」でありました。
この空想書店の一冊として、皆川さんは「山尾悠子作品集成」をあげておられま
した。この文章は読売新聞2017年6月11日付に掲載のものとなります。
今回の50周年記念の「私が選ぶ国書刊行会の3冊」には残念ながら、皆川博
子さんは登場しませんが、10年まえ「40周年」の3冊に寄稿していました。
ここで皆川さんが選んだ3冊は、次のものでした。
ほんとすごいな皆川博子さんであります。
こうなると、山尾悠子さんのエッセイ集のなかに皆川博子さんの名前はでて
こないかと思うことで、パラパラとページをめくるのでありますが、さーっと
みたところでは、その名が見当たらないのでありますね。
当方は、ごくごく最近になって皆川博子さんを知るにいたったのですが、ひ
ょっとすると、当方の世代にとって皆川さんは、永く知られざる作家であった
のかもしれません。