料理の値段か

 昨日に届いた新潮社「波」2月号の巻頭には筒井康隆さんの新シリーズと

いうことで「老耄美食日記」というのが掲載となっています。

 当方は筒井さん作品はほとんど読んでいない人でありまして、これはその昔に

井上ひさしさんのものを読んでいた後遺症のようなものであります。若き日の

筒井さんと井上ひさしさんが直木賞候補となって、井上さんが受賞し、その後

筒井さんは直木賞に縁がなかったことから、筒井ファンは井上さんのことを、

快く思っていなかったようであります。(そんなことないのかな)

 逆に言えば、井上ファンで筒井作品もよく読んでいるという人は、すくなく

とも当方のまわりにはいなかった。そういう時代でありまして、どちらも好き

とは言えない雰囲気がありました。

 井上ひさしさんは2010年に亡くなって、すっかり過去の人となり、一方の

筒井さんは88歳にして現役の作家でありまして、長生きするのも芸のうちで

ありますね。

 ということで、米寿の作家の美食日記ですが、これのユニークなところは、

次のようにあるとこでしょうか。

「以後この日記、おれの公開日記では他に類例のない料理の値段を書くことに

する。今までの日記とは違ったことをやらなきゃな。」

 当方などでは足を踏み入れることのできない料理屋などで、いくら支払ったか

というのは、下司な当方にはのぞき見をするような気分で、興味深々であります

が、中には先生公開は勘弁してというところもあるのでしょうか。

 筒井さんが、この号で足を運んでいる店で、当方が利用したことがあるのは、

「南国酒家」だけですが、もちろん一人あたりの支払い額はけた違いであります。

 それにしても、88歳とは思えない元気さでありまして、もちろん食欲もすご

いことであります。まだまだ健筆が期待できそうでありますね。