加賀乙彦さんから湯川書房へ

 今月12日に亡くなった加賀乙彦さんは、短編小説をまとめた全集というの

も出しているのですが、これまでのところ縁がなくて、手にすることができて

おりません。

 加賀さんの短編をまとめたもののほうが入手困難なようですが、加賀さんの

短編を読んでやろうなんて人は、そんなにいないのでありましょう。

2009年のことになりますが、当時の大学入試センター試験の「国語」の問

題に加賀さんの短編小説「雨の庭」の一部が採用されて、受験生の間で加賀乙

彦というのは誰だとなったようで、この小説を話題としていた当方のブログも

すこし賑わいをみせたことを思いだします。

 当方は小説の内容をというよりも、湯川書房の限定本「雨の庭」を話題として

いたのですが、この限定本のおかげで、当方は「雨の庭」を読むことができた

わけです。(この「雨の庭」のエピソードは、ずーっと後になって自伝的な

長編小説のなかに再度登場していました。)

 ということで、湯川書房という主に限定本を刊行した版元さんの話題に転じて

行きます。湯川さんは、数多くの限定本をだしているのですが、なかでも湯川版

「雨の庭」を「理想の限定本」と評する方がいて、その昔にはとうてい手の出る

ものではありませんでした。

vzf12576.hatenablog.com 当方が購入した10数年前でありましても、まだまだ高かったのです。

ところが、当時湯川本を大枚はたいて購入されたコレクターの方々が、次々と

鬼籍に入られて、その方々のコレクションが市場に出回るようになっていて、

最近はずいぶんと安価(状態のよろしくないものもありますが)になっている

ようです。

 本日にヤフオクをチェックしていましたら、この値段で売られているのと思い

ました。(関心のない方にはそれでも高いと思われるでしょうが。)

加賀乙彦「雨の庭」湯川書房でチェックしてみてくださいです。

  そんなことを思っておりましたら、林哲夫さんのブログに、以下の記事がある

ではないですか。こうした展示は、2010年に大阪のギャラリーで開催され

て以来のことになります。今度の舞台は鎌倉かなです。

sumus2018.exblog.jp  美術館のページは、湯川書房と主人についての説明もあって、とてもよろしで

あります。前回の大阪でのギャラリーの展示にも言及されています。

 この公開期間は、当方に湯川書房のことを教えてくださって「仙台が親戚」

さんの祥月命日もあることから、なんとか会場に足を運ぶことができないか

なと思っております。

 この展示は「蒐集家の岡田泰三氏ご寄贈による当館所蔵品」とありますので、

この方もお亡くなりになったのでありましょうか。

 「湯川共和国」の人も少なくなってくることです。

www.moma.pref.kanagawa.jp