図書館から借りてているものや、つまみ読みしている文庫本などのページを
めくりながら、週末を過ごすことにいたします。
一番に読んでしまわなくてはならないのは多和田葉子さんの「太陽諸島」で
ありますが、はしやすめとして皆川博子さんの「随筆精華」と佐藤正午さんの
「書くインタビュー5」を手にすることになりです。
「書くインタビュー」はいつの間にか5巻目にはいっていました。過去のもの
は読むことはできていないのですが、遅れながらも購入をしておりました。
買って、そのままなんてことにもなっているのですが、この5巻目は新刊ですぐ
に求め、旅行に持参して読んでおりました。
いつのまにかインタビュワーの東野さんがお休みとなって、編集部オオキさん
に変わっていました。どちらにしてもマニアックな正午派の世界の話であります
が、これを読むことで、すこしは正午さんの小説も読むようにしなくてはいけな
いなと思うことで。(当方は、正午さんの小説はいくつも読んでいないからな。)
そういえば、岩波現代文庫で「小説家の四季」が刊行されるということであり
ました。新編集であるとかで、これは気になることで。
つまみ読みにもってこいと思われるのが、皆川博子さんの「随筆精華」であり
ますね。
当方は皆川さんについては知るところがなかったのでありますが、どうやらこ
れまでエッセイなどをまとめた本は出していなかったようであります。
皆川さんの作品世界をこよなく愛する日下三蔵さんによる労作であります。
皆川さんと日下さんは、ちょうど親子ほどの年齢差でありますが、当方などが
皆川さんの世界に触れることになったのは、日下さんのおかげでありまして、この
ような編集者さんがいるというのは、ほんとにありがたいことです。
皆川さんの短いエッセイを読んでいますが、この世代の女性としては、極めて
進んだ人でありまして、このような人が書き残したものは貴重であります。
たとえば、父上が霊媒を使っての心霊実験に熱心であった頃の話であります。
父上はお医者さんでありまして、いかがわしい人ではないのですが。
「父は私には霊媒の素質があると信じ込み、訓練を始めた。進学はできたが、私は
霊媒になるべきであるという父の信念はゆるがず、思い出すのも嫌な、それこそ地
獄めいた日々が始まる。おかげで、人間の心の闇は垣間見た。もちろん私に超能力
など、かけらもないと言い添えておく。」
皆川さんは、極めて早熟な読書生活を送っているとありましたので、そのような
娘に特殊な才能を見出したのですね。
最近は宗教二世が話題になっていますが、このような思い出すのも嫌なという
経験を書き残してくれていたとはです。