いかにもわけありな人で

 昨日に図書館から借りた高山宏さんの本「雷神の撥」から話題をもらうこと

になりですが、高山さんというと、いかにもわけありの感じで、どう見ても普通

には見えないことです。

 こういう人にぞっこんまいってしまったら、道を踏み外してしまうことになる

のでしょうね。

 高山さんの仕事で、当方の仲間たちの間で評判になったのは、アリスものであ

りまして、アリス好きは高山ファンとなったのですね。

当方は「ユリイカ」などで高山さんの文章は読んでいたと思いますが、それは山

口昌男や由良君美さんについてのものでありました。

 昨日に目次で目についた由良君美という名前が入った文章を読んでみることに

しました。

 「椿説・由良君美の周辺」というものですが、「雑誌『英語青年』が相当数の

英米文学者に二十世紀に残る英米関係書を一点挙げよという大型アンケートを企

画し、東京都立大学英文学専攻の若い同僚がものの見事に、由良氏の『椿説泰西

浪漫派文学談義』をその一冊に挙げ」ているのに愉快に思ったということから

はじまります。

 なぜこれが愉快かというと、それは次のように書かれます。

「狭い学会に熱烈信奉者と同じ数の仇敵を抱えた由良氏の仇敵中の仇敵、篠田

一士氏があらゆる意味で完全なワンマン支配を敷いていた都立大英文専攻の若い

世代がこういう挙に(?)出た点に、個人的には殊に大きな感慨を持つ。・・

日本英文學界の2大カリスマといえば篠田、由良が両極だったはずで、七十年代

後半から篠田氏他界にいたる二十年弱。『由良の弟子』は篠田一士にいじめ抜か

れた。氏の名誉もあってそれ以上仔細は記さないが、やはり大人げない仕打ちで

あった。」

 わけありの高山さんは大学院をでて二年ほどした1976年に都立大英文とい

篠田一士さんが帝王として君臨するところに迷いこんで、いじめ抜かれるので

ありますね。 

 これは知りませんでした。当方はこの時代は翻訳ものに関しては篠田御大を導

きの星としていましたので、由良、篠田の抗争においては篠田の肩を持っていたの

ですが、このようなこともあったのかです。