しばらくは図書館本で

 図書館から借りている西村賢太さんの「寒灯」を朝から読むことになりです。

西村さんの小説は、朝から読むものではないかもしれませんが、まったく貫多

という男は、どうにもならんクズ人間だと思いつつ、そういえば当方の知り

合いにも、このようなことを言っている人間がいたな、そうして、たまに口に

はしないものの、当方も似たようなことを思うことがあるなと思うのでありま

した。

「おまえが何か特別に作るみたいなこと言っていたから、ぼくは楽しみに待っ

ていたんだぜ。おまえが帰ってくるのを、今か今かと待ち続けていたんだぜ。

もう腹ペコで死にそうだよ。」

 これは貫多が、秋恵と暮らしていた一年ほどの間に貫多の誕生日を祝うと

いう夜の食事の時のことであります。秋恵はパートでスーパーのレジ打ちを

していて、そこからの帰りが、いつもより時間がかかったので、癇癪を起こす

というくだりでの話であります。

 この食事は一緒に暮らしている女性が作るものというのは、今でもあちこち

の家庭では動かせないルールであったりするようで、当方の友人も、ほぼ台所

仕事はせずに、食事ができたよと声がかけてもらうまで、じっと待っていたり

です。何かの都合で、食事が遅れたりしたら、けっこう機嫌が悪くなってり

するのですね。食事のあとには、服薬しなくてはいけなくて、その時間は、

できるだけいつも同じ時間でなくてはというようなルールを、同居の女性に

押し付けるのでありますね。

 そんなこともあって、貫多のことは他人事ではないのでありますよ。

寒灯

寒灯

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