朝に配達となった新聞一面下のサンヤツには、「本の雑誌社」のものがあり
ました。「本の雑誌社」のものは、たぶん過去にも目にしたことがあるはずで
すが、今回の広告は、一番上に囲みをつくって、そこに「本の雑誌10月号」
とあって、「特集:定年後は本当に本がよめるのか!?」とありました。
その下には単行本二冊が並んでいたのですが、「本の雑誌」について広告で
取り上げているのは珍しいのではないかな。
そんなわけで、本日のサンヤツでは、ここで目がとまってしまいました。
最近の新聞の購読層は年齢が高いと思われますので、そうした人にあわせた
広告となったのでしょう。
この特集のことは、「本の雑誌」が届いた時に話題にしておりました。本日
に改めて手にして、次のくだりで目がとまったことです。
それは田口久美子さんの文章の終わりのところにありです。
「一年ほど前ですが、冒頭部分に書いた友人が亡くなりました。通夜の夜、
遅くに帰って茫然としている私に友人の息子から電話があり、『柩に3冊まで
なら本を入れてもらえる、選んでください』とのことです。もう必死になって
思い出しました。一冊目一緒に働いていた頃ふたりで共感したマルケスの『百
年の孤独』、2冊目、老後の話で盛り上がった村田喜代子の『飛族』、最後に、
ここのところずっとアリス・マンローを読んでいるの、という彼女の話を思い
出し『林檎の木の下で』を。」
長く友人関係のあったお二人の話でありますが、先に亡くなった方の息子
さんが、母の友人に相談をするというのが、まずよろしですね。亡くなった母
の柩に自分がではなく、友人に選書してもらうというのが気が利いていること
です。
もう一つは、選ばれた本が二人の共通する思いの詰まった本というのがうれ
しいことです。
このようなのを読みましたら、当方が同じようなことになった時に、二十歳
くらいから亡くなるまでに本について話を重ねてきた本友達は何人いるかな
ということでありました。
そういう人が見つかったとして、その人は田口さんのようにうまい選書をして
くれるだろうかな。