夏に送る

 本日はかっての仕事仲間が亡くなって告別式があり、それに出席です。

当地は秋めいてきたとはいえ、まだすこし夏でありまして、この時期に厚手の

喪服を着てでかけるというのは、すこしおっくうなことです。

 そんなふうに思っていましたら、夏に送るという言葉が頭に浮かんできまし

た。これは佐多稲子さんの本のタイトルの頭と後ろのところをつなげたもので

ありまして、正式は書名は「夏の栞 中野重治をおくる」というものです。

 となると、中野重治さんは夏にお亡くなりになったのか思い、検索したら8月

24日が命日でありました。亡くなってから「中野重治の会」が開催されていたの

ですが、最近はどのようになっているのでしょうね。

 当方の仕事仲間は、一年後輩で仕事についた最初の職場で一緒で、それ以来で

ありますので、すでに46年が経過ですか。50代の半ばくらいで難病がわかって、

だんだんと身体が不自由になり、仕事の継続が難しくなりました。なんとか外出

できていたのは、6年ほど前までで、その後は施設での暮らしを余儀なくされて、

ここ数年はコロナのために面会することも叶わずでした。

 たぶん、ずいぶんと無念な思いで亡くなったろうと感じることです。それにし

ても70歳の壁というのがあって、その昔の人が古希といってお祝いしたことの

意味がぼんやりとわかることです。

 本日の告別式の会場には、演歌が流れていて、彼はこういう歌が好きであった

のかと初めて知ることになりました。お棺には坂本冬美さんのレコードが入って

いました。そうであるか好きな音楽をききながら、旅立ってくれたまえ。