昨日に引き続きで古い手紙の山を整理しておりました。昭和15年くらいから
のもので、なにかの基準にてらして保存して置こうと思った手紙が残っているの
ですが、それにしてもずいぶんとあるものです。
昔は急ぐ時には電報で、普通は郵便で連絡を取るというのが一般的で、家庭に
電話がつくというのは、昭和の後半になってからですね。
残っているのは、もちろん来信分でありまして、文面を見ますとお手紙ありがとう
ございますという書き出しとなっていますので、これと同じだけか、それ以上に
手紙を出していたのでありましょう。
当方は、手紙のみで構成された小説が好きでありまして、この場でも長谷川四郎
さんの「古い手紙より」、上林暁「中学一年生」、「あしながおじさん」という
ような作品を話題にしているように思います。
本日に見ていた手紙は、あしながおじさんの主人公が書きそうなものや、明治生
まれの母が、戦前に代用教員として田舎の小さな学校に職を得た大正生まれの息子に
あてたはがきなど、いかにも戦前の昭和の雰囲気が伝わってくることです。
昭和の後半の日本と比べると、明治から地続きのような社会と家族の姿がそこに
はあります。このようにしてしか生きていくことができなかった時代でありまして、
その時代のことを手放しで礼賛するというのはいかがなものかです。
それにしても官製はがきといいましても、その時代ごとに大きさとか紙質もかわり
まして、郵便コレクターさんとは、官製はがきのデザインなどが変わるたびに収集
しているのでしょうね。
そうしたコレクターが参照するガイドブックをありましたら、官製はがきから
発せられた時代などが見えてくることです。(なんといっても消印がはっきりとせ
ずで時代の特定が大変なんですね。)