引き続き快調で

 このところ届くのが一番楽しみなのは新潮社「波」であります。毎月のように

これに掲載の文章や「編集後記」から話題をいただいておりますので、ほんと

ありがたいことです。

 編集後記を楽しみにしておりますように、編集長との相性がよろしいようです。

今月の後記では、最近にはまっている川島雄三監督作品へのことから、それに出

演している女優さんに話題が転じています。

「と、右のようなことは実は二の次、川島作品で何より惹かれたのは(『何を今

更』は百も承知!)芦川いずみでした。就中、『風船』で小児麻痺の少女を演じ

る彼女は胸をかきむしられるような可憐さ。」

 結婚を機にすっぱりと芸能界から引退してしまい、その後の写真がほとんどな

い芦川いずみさんであります。当方も小学生の頃に日活の映画で、芦川さんを

見たことがありました。子どもでありましたが、北原三枝さんよりも、芦川さん

のほうがいいなと思ったものです。

 それにしもてほとんど無名と思われた若い役者さんと結婚してどうなるのかと

思ったのですが、その役者さんも見事に大成してめでたしです。

 編集長さんは、「一昨年出た『芦川いずみ 愁いを含んで、ほのかに甘く』も

いそいそ購入。アーウィン・ショー所縁の題も構成も編者の思いが熱い、やっぱ

り女優の写真集はこうでなくちゃあ。」と後記を終えています。 

 こういうのって好きだよなと思っていましたら、「波」の別の場所にも編集長

が登場するところがありです。

 これがまた、先日にも話題とした北村薫さんの「本の小説」という連載ものの

なかにありです。

「前回、小林信彦の小説『悪魔の下回り』について書きました。

 本のことなら、蜂蜜に鼻をひくひくさせ、くまのプーさんのようになる編集長

が、喜んでくれました。あちらは、若い頃からの小林ファンなのです。」

 そうなのか編集長は、小林信彦さんの熱心なファンであるのか。

 この北村さんの今月号は「糸 前篇」となっていて、次号に続くのであります

が、これがまためっぽうに面白い。

 北村さんは、前号に引き続き快調でありますよ。