最初の家電か

 昨日に図書館から借りてきました「ラジオの百年史」を開いていましたら、

戦後日本の最初の家電というのは、ラジオであったのだなと思うことです。

 街で暮らしている人にはなかなかぴんとこないと思われますが、昭和30年代

に入ってからでも、山間部とか開拓地などでは電気が通っていないところは珍し

くありませんでした。

 そうしたところでは、小規模な自家発電で灯りをともすか、そうでなければ

ランプで生活でしたから、街などで家電の三種の神器が話題になっているのは、

どこか別の世界の話でありましたでしょう。

 昨日のペギー葉山さんの歌にある「せめてラジオきかせたい」というのは、

そういう背景でのことでありますね。(テレビなんてぜいたくでということも

あったでしょうが)

 日本のほとんどの家庭において最初の家電となったラジオでありますが、普

通の家庭ではいつ頃から備えていたのでありましょう。ラジオが登場する有名

な場面といえば、1945年8月15日正午にラジオ放送があった「終戦詔書」を

皆で聞くとのがありますが、あの時代にラジオを持っていた家庭なんてどのく

らいあったのでしょう。

 これまた田舎にいくにしたがって、放送局(もしくは中継局)から離れてい

て、ラジオを持っていてもほとんど良好な受信状態にはならなかったのではな

いかと思われます。

 ラジオの受信機が家庭に入っていくのは、民間放送の開局となってからのこ

とで、これから戦後復興に続いて、高度成長となって、それのわかりやすい例

が家電製品ということなりますか。

 「ラジオの百年史」を当方のなじみある時代から見ているのですが、そこに

は次のようにありました。

「家電メーカーは、戦後復興に伴う電力や鉄道関連産業などで得た豊富な資金

を投入して幅広い製品と、その生産能力を作り上げ、自社の販売店網を全国に

展開した。それまでラジオは松下、早川(シャープ)、八欧(ゼネラル)が三大

メーカーであったが、ここの強大な電機メーカーが参入してきたことで競争が

激化した。元々小型家電から始まってラジオに参入してトップとtなった松下は

ともかく、ラジオ専業であったシャープ、ゼネラルも家電に参入し、総合メーカー

を目指すことになった。」

 これが1955年頃のことでありまして、ソニーはまだやっと初めてのラジオを

販売したところでありました。

 それにしても、当時のラジオには私達の夢がつまっていたことであります。