男は言われないのに

 同じことをしても男性であれば、あまり問題にされないのに、女性がした時

には、ひどく叩かれるということがありますね。いつからそのようになったの

かはわかりませんが、昨日に引用しましたように「女性を対等な存在と考えない

女性蔑視は今も続いている」のでありますね。

 そのことについて性の側面からあれこれと論じていますのが、酒井順子さんの

「処女の道程」でありまして、これを図書館から借りて読んでいます。

酒井さんがなかなか話題にしにくいことを、自分のことにも触れなが書き進めて

いるというところに、この本の価値がありますね。あくまでも性のことに関して

は、自分も当事者でありますからして。

 古来から比較的開放的であったそのことが、窮屈になっていくのは儒教とか

キリスト教の影響であるといっています。

「男女の関係で言うと、陰が女で、陽が男。陰である女の方が本来的に強いから

こそ、両者の調和を保つためにできたのが、男尊女卑思想なのです。すなわち、

強い女を抑え込むことによって、ようやく男女の力は平均化する、と。 

 このことを知って私は、膝を打つような気持ちになりました。」

 上に引いたくだりがあったのは「『女の欲求』が見えていた頃」という章で

ありますので、儒教キリスト教の影響を色濃く受けるようになったからは見え

なくなってきたというか、そんなものは「ない」とされるようになったという

のですね。

 同じ章にある秀逸なくだりを引用です。

「母方の権力が強い時代が終わって武士の時代になれば、権力は母方から父方へ

と移行。そうこうしているうちに江戸時代になると儒教が流行し、『孝』やら

『忠』やらと同時に『貞』という観念も重要視されるように・・。

 『貞』とは、『女性が操を守り通す』といった意味のようです。『操』という

言葉は今、ほとんど死語と化しましたが、・・・そもそもは『性的な純潔を守る』

ということでした。

 昭和を知る人であれば、殿さまキングス『なみだの操』の歌詞を思い浮かべて

いただくとわかりやすいかと思いますが、・・『なみだの操」を歌ったのが、

『殿様キングス』であることは、貞操問題の一面をよく表していましょう。

女の操は、日本が殿様の時代になってから、重要視されるようになった観念。

殿様を殿様たらしめるために絶対必要だったのが、女の操でした。」

 昭和を知る当方は、引用した後段の「殿様キングス なみだの操」のあまりに

もすばらしいはめ込み方に、おもわず座布団三枚です。ここで殿様キングスに

つなげることができるのはすごいことです。思わず宮路オサムさんの顔がうかん

できました。

 それにしても「処女の道程」でありまして、このタイトルも人をくっているこ

とでありますね。

処女の道程

処女の道程

  • 作者:酒井 順子
  • 発売日: 2021/02/17
  • メディア: 単行本