このところの月曜日というと、一日かけてのパン作りと、散歩、それに家人
の足の確保などをして、そこそこ忙しい日となっていました。本日は家人の足の
確保はなくなり、パン作りもそれなりに作りおきしたのが冷凍庫にありまして、
作業はお休みとしましたので、午前の散歩だけで、午後からの時間はあくことに
なりました。
ということで、本を読みながらうとうととしたり、音楽をきいたりしながら
過ごすこととなりました。
このところ音楽をきくというと、ほとんどが動画サイトからで映像を見ながら、
それにあわせて音楽を耳にするというのが普通になってしまいましたが、本日は
ただただCDプレーヤーで音楽を再生して、音だけを楽しむことになりです。
映像に頼らずに、声と言葉と音に耳を傾けることにします。これは当方の子ども
時代の音楽の聞き方と同じでありますが、子どものころと違うのは情報量であり
ますしょうか。
そういいながら、本日は今月に発売となったアイナ・ジ・エンドさんのソロ・
アルバム(思いっきり暗い曲が多いのですよ)から、ポップでキャッチーな曲を
きいたりです。
アイナ・ジ・エンド - サボテンガール [Dance Movie]
手にしていた本は、古井由吉さんの「書く、読む、生きる」でありました。
「書く」はともかくとして「読む、生きる」というのには大いに共感することで
す。この本の巻頭におかれた「書く、生きる」という文章(もとは講演であるよ
うです)の書き出しは、次のようになっています。
「私はあと一週間で、七十歳ちょうどになります。早くもこの歳になったと驚い
ていますが、しかし、よく考えてみたら、それほど騒ぐことでもない。」
平成19(2007)年11月12日に早稲田大学教育学部国語国文学会での講演の冒頭
となります。まさにタイミングがぴったりで、当方もあと数日で七十歳ちょうどと
なるのでありますが、ほんと自分のまわりを見渡しても年齢の多い人はたくさん
いて、まだまだ隠居は許されないという雰囲気であります。
古井さんは先年に亡くなるまで現役の作家でありましたので、70歳を過ぎてか
らも意欲的な作品を発表していましたが、七十歳を目前にした講演の終わりを次の
ようにしめています。
「人はつねに歳をとりますが、ただ老成すればいいというものではない。作家も
同じです。みなが成熟すればいいというものではありません。若い人たちが出て
こなければならない。高年者にも若い何かが出てこなければいけない。私はまも
なく七十歳を過ぎますけれど、これからはなおさら、まず自身のうちの若いもの
に心を配らなければならないと考えている次第です。」
「自身のうちの若いものに心を配る」でありますよ、たいくつなじいさんになら
ないようにしなくてはいけませんです。そういえば、古井由吉さんが亡くなったの
は昨年2月18日で、まもなく一周忌であります。