週末となりです。図書館から借りている本のうち読みやすいものから、
すこしでもページを稼いでいかなくてはいけないこと。といいながら、
明日は亡くなった従兄弟の初七日ということで、お参りにいくことにな
りです。
借りている本で一番読みやすそうなのは、磯崎憲一郎さんの「日本蒙昧
前史」です。
図書館の新刊棚にあったのを見つけて借りて読もうと思ったところに、この
作品が「谷崎潤一郎賞」を受けたとの報道がありました。谷崎潤一郎賞は中央
公論社がスポンサーですが、中公ものが受賞することは少なくて、信頼できる
のではという声をききます。
初期の谷崎賞は、重厚な作品が多かったのですが、最近は重厚な作品が少なく
なっていることもあって、昔よりも軽量級となっているようです。
今回受賞の「日本蒙昧前史」は、「文學界」に昨年から今年にかけて五回に
わけて掲載され、それが単行本となって、すぐに谷崎賞です。ちょっと小説の
世界がさびしくなってはいないかな。
そんなこんなことを思いながら、この小説を読みすすめることになりです。
書き出しは、次のとおりです。
「幸福の只中にいる人間がけっしてそのことに気づかないのと同様、一国の歴史
の中で、その国民がもっとも果報に恵まれていた時代も、知らぬ間に過ぎ去って
いる。」
たぶん、この書き出しに作品は凝縮されているのでしょう。これに続いては
内的にはつながらないエピソードが、ぶつぶつと切れたようにつながってきま
す。
そのエピソードは、この本の帯によりますと「大阪万博、三島由紀夫の自決、
五つ子ちゃん誕生、ロッキード事件、グリコ・森永事件、密林に二十八年身を
潜めていた元日本兵」となります。
当方にとっては、すべてが同時代の出来事でありまして、強く印象に残って
いるものもあるのですが、これらをどのように料理すれば、この時代の雰囲気
を描き出すことができるでしょうね。
そして作者は、それに成功したのかな。まずは駆け足でよんでみて、残りは
50ページくらいなのですが、まだわかりません。