新聞夕刊から

 本日に届いた夕刊は、文化特集の趣でありまして、読書欄を補完する

ような内容となっています。読書欄とセットであってもいいのに、どうして

読書欄のほうは、このような切り口にならないのだろうか。

 編集者をつくった本というコラムは思潮社の高木真史さんが小田久郎

さんの「戦後詩壇私史」をあげていました。

戦後詩壇私史

戦後詩壇私史

 

  戦後詩壇を支えた思潮社の小田さんの本を読んで高木さんは思潮社

へと入社することになったとありますので、文字通り編集者をつくった本と

いうことになりです。

 この本は刊行となったときにすぐに購入したのですが、頭のところだけ

すこし読んで、そのままになっています。これは読んでしまわなくてはいけ

ないことです。

 同じページには中条省平さんの「マンガ時評」の掲載があって、これは

今年の手塚治虫文化賞の「マンガ大賞」を受けた高浜寛さんの「ニュクス

の角灯」を取り上げています。

 当方はマンガ話題にはまるで暗いものですから、このような時評はとても

参考になります。この高浜さんの作品について、中条さんは、次のように

書いています。

「今回の『ニュクスの角灯』は、これまでの作品と比べて量的にも格段の

大作であり、高浜寛という作家を、知る人ぞ知る異色の存在から、もっと

大きなスケールの、普遍的な物語の面白さと感動をあたえてくれるマンガ

家へと脱皮させました。日本まんがでその年の最高峰というべき作品に

贈られる手塚治虫文化賞マンガ大賞にまことにふさわしい傑作です。」

中条さんがこのように記しているのを見ますと、読んでみたくなることで。

 最後には、このようにあり。

「そして、ラスト9ページの衝撃。ネタバレを避けるために何もいえませんが、

不思議の国のアリス』のように奇想天外で、同時に、日本近代の帰結を

この上なく残酷に描きだしています。」

 ネタバレ禁止ですね。

  中条さんは、マンガ時評で「ネタバレを避けるため」と書いているのですが、

このページの一番上に掲載されている松本清張砂の器」についてのもので

は、「ハンセン病 沈黙強いられる家族たち」というサブタイトルがついている

ことからもわかるように、「砂の器」のネタバレからであります。

 たしかにこのような書き方をしたほうが、「根強い感染者差別 葛藤なお」と

いう趣旨にはあっているかもしれないが、よく知られている小説ではあっても、

ネタバレからの本の取り上げというのは、あまり感心できるものではありません

ですね。

 この「ハンセン病」に関連して、タレントの石井正則さんが出版した写真集を

紹介しているのはよろしであります。石井さんのコメントもとってもよろしくて、

石井さんがこの写真集を作成するのにつぎ込んだ時間が確かなものであった

ことを教えてくれます。

13(サーティーン): ハンセン病療養所からの言葉

13(サーティーン): ハンセン病療養所からの言葉

  • 作者:石井 正則
  • 発売日: 2020/03/30
  • メディア: 単行本
 
砂の器(上) (新潮文庫)

砂の器(上) (新潮文庫)