長谷川さんと小沢書店

 小沢書店の創業者で、後年は著述家となっていた長谷川郁夫さんが

5月1日にお亡くなりになったとありました。

 小沢書店を創業したのは、学生時代の1972年とありますので、就職

せずに起業の道を選んだことになります。これが大変な荊棘の道でありま

して、長谷川さんにとっては小沢書店は、常に資金繰りに悩みがつきまと

い、結局は2000年に倒産することになりです。

 どのくらいの借金を抱えることになったのかわかりませんが、長谷川

さんにとっては、思い出したくない経験であったようです。

当方のような気楽な読者は、本の値段が高いなとか、もっと興味をひくもの

を出せよなといっておればよろしいのですが、今よりもまだ出版をとりまく状

況が良かった時代にあっても、出版は大変でありました。

小沢書店が倒産したときには、放漫経営が原因といわれたように思います

が、どのような思い出したくないことがあったのでしょうね。

 小沢書店に関しては、あまり書かれたものがないように思います。本日に

長谷川郁夫が亡くなった報道についているネットコメント欄には、倒産の前

には雑誌をだしていたという書き込みがあったのですが、これは当方は初め

て眼にすることで、これが事実であるのかどうか確認がとれずでありました。

 過去には小沢書店出版物に関連するフェアが開催されたこともあるよう

ですが、この時に作成された目録を眼にしていないせいもあって、小沢書店

の最初の刊行物が何であるのかもわかっておりません。

 長谷川さんのような志をもった出版社にとって、最初の一冊はそれなりに

思いを込めたものであるだろうと思うのですが、最初は学生で資金もないの

でありますから、それからの小沢書店とは路線が異なるということも十分に

考えられることです。

 もともと、小沢書店は当方の関心のど真ん中ではなくて、ちょっとずれたも

のを出していたのが、この会社に親しみを感じるのが遅れることになったよう

です。

 そんなことを思いながら、長谷川郁夫さんと小沢書店に関して古い資料を

ひっぱりだしてきて眺めております。

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