作家 絲山秋子さんの本を手にしています。
「絲的ココロエ」はある意味、絲山さんの作品世界へのガイドブックとして
読んでみることもできるようです。
「私の場合、小説のエピソードが『おりてくる』のは、気分が落ち着いている
状態のときしかない。また躁のときには、注意力も集中力も体力もないので、
小説を書くことは無理なのだ。」
躁状態の人と付き合ったら、病気のせいで外から見たらアクティブになる
ので、いかにも小説を書くことができそうなのですが、絲山さんについては、
そんなことはなしであります。(たぶん、ほかの作家さんもそうでありましょう。
当方の友人が躁の時にくれるメールは勢いはあるのですが、内容はハイで
ありまして、ちょっと偉そうになったりしますものね。)
上に引用したところに続いては、次のようになりです。
「躁うつ病を設定に使った小説は『イッツ・オンリー・トーク』と『逃亡くそた
わけ』の二作品がある。もちろん具合のいいときに書いた。それでも自分の
躁状態を思い出しながら書くことは、かなりの負担になったし、脱稿の頃に
は精神的にも荒れていたと思う。そして、病気のことは断片しか書けていな
いという思いも強く残したままである。」
ということで、本日は「イッツ・オンリー・トーク」を読むことになりです。
ずいぶん前にブックオフで購入してそのままになっていたのですが、「絲的ココ
ロエ」のおかげで読むことができました。なるほどななかなかいいじゃないか
です。この小説は映画になったのだそうですが、主人公を演じたのは寺島しの
ぶさんとのこと。このような役を演じられる人は、そうそういませんですね。
絲山さんは、車が好きであるらしくアルファロメオの左ハンドルのマニュアル
車にのっているのだとか、「イッツ・オンリー・トーク」に登場する人がのっている
のも扱いにくそうなランチア・イプシロンでありまして、これはマニアックですね。