夕方に空を見上げる

 この時期あたりがすこし薄暗くなると、遠くから鳥の声が聞こえてきます。

聞き慣れたからすの声ではなく、仲間の鳥に号令をかけるような励ますよう

な渡り鳥の声となりです。

 たいていのときは、庭にでて花の様子を見ているときでありまして、声が

聞こえてきますと空を見上げるのですが、昨日は思わず北のほうを見てしま

いました。渡り鳥たちは、ここから南を目指すのですから、声が聞こえたら南

の方向の空を見上げなくてはです。

 本日はそんなわけで南の空を見たのですが、鳥たちのルートがちょうと隣

家の陰にあたって、鳥たちを目にすることはできずでありました。あの鳥たち

は本日はどこまで行くのでありましょう。

 これから、しばらくは鳥たちの越冬地への旅行が続くことになります。

 あのような鳥の群れにもいじめはあるのだろうかと思ったことです。

昨日に図書館から「体罰と戦争」という本を借りてきたことも関係があるで

しょうか。

体罰と戦争

体罰と戦争

 

 体罰と戦争というのは、つなげて考えることができるのかと思いましたが、この

本の著者は、はじめに次のように記しています。

「 人間はほかの動物と比べると、

 同類間の破壊的な行動が際立って見られる種です。

 同類間で傷つけ合い、殺し合う動物はほかにもいますが、

 人間ほどマスレベルっで

 同類攻撃をする動物はほかにいません。

 そのような同類間攻撃行動のうち、

 何千年にもわたって止むことなく続いてきた

 人類のふたつの不名誉な伝統が、体罰と戦争です。

 このふたつには共通点がいくつもあります。」

   このように書かれているのをみますと、人という動物が優れた種であるのかなと

思ってしまいますね。今から何万年もしたら人類はいなくなっても不思議でないの

ですが、それがあるのかどうか、だれにもわかりません。

 この本には2001年6月8日にあった大阪教育大学付属池田小学校襲撃事件

の犯人についての考察があります。この理解しがたい事件というのは、ちょっと頭

のへんてこな人がおかしたもので、あのような事件はそうそうあるものではないと

思っていましたが、森田さんは、「この事件に関して『精神障害者』と『犯罪』を結

びつけて報道することは、精神障害者にとってはまったく迷惑きわまりないことで

した。」と記しています。

 森田さんに言わせるとこの事件の背後にある問題は、「ジェンダーと暴力の影」

であるとなります。犯罪を犯す人は、子どものころに父親から男らしく生きることを

求められていないか、そしてそうした精神を注入するためにしつけと称して体罰

受けていなかったかであります。

 最近の研究では子どものころの体罰が原因で脳に悪影響を及ぼすことがいわ

れています。虐待をする親や、犯罪を起こす人たちは子どもの頃に、父母から日常

的に体罰を受けてはいなかったかです、

 ちなみに池田小学校襲撃犯人は、子どもの頃、父親の家庭内暴力にあってい

ました。もちろん、この暴力は子どもだけではなく、妻にも及んでいました。

なんともはやですが、その昔は家庭内暴力(この場合は父親から子ども)は普通

にあったもので、いってもわからないのだから体罰するというのは、封建的な家族

関係において常識でしたね。

「犯罪統計を見るまでもなく、男性のほうが暴力を振るいやすいという事実はあた

りまえのこととして受け入れられていますが、暴力の性差に注目した研究を目に

することは少ないです。

 暴力における男性の加害性と女性の加害性の異質性と同質性に関する研究が

もっとさかんになることを期待します。」 

 この本には、ヒトラーの暴力性の由来を子ども時代に受けた体罰体験から論じ

る説も紹介されていました。ヒトラーにもそういう側面があるのか。