週末に読むために図書館から本を借りてきたのでありますが、あれれまるで
借りた本が読めていないや。あれこれと予定があるので、それでも読むことがで
きるような、軽い内容のものを借りたのですがね、たとえば、次のもの。
北上次郎こと目黒考二さんの新刊であります。単行本は古巣の「本の雑誌社」
からでありますが、収録の文章が掲載されたのは「ミステリマガジン」と「問題小
説」だそうです。どちらも、当方が手にすることがないもので、当然のこと、すべて
の初めて読むものです。
当方は北上次郎さんが得意とするミステリとか冒険小説というのは、あまり
得手でなく、目黒さんが大絶賛した十二国記シリーズ「図南の翼」は読んでみた
ものの、まるでぴんとこなくて、目黒さんと自分はずいぶんと面白いと思う感覚が
違うのだなと思いましたです。
とはいっても、気になる書評家でありまして、「本の雑誌」を通じてフォローは
していたのでありますね。どうしてなのかなと思っていたのですが、北上さんは
次のように書いていました。
「六十年代初頭のカッパ・ノベルスで大衆小説の面白さを知り、六十年代後半
の中間小説誌で育てられた私は、戦後の新しいエンターテインメントを享受した
最初の世代といっても過言ではないと思う。」
北上さんは1946(昭和21)年生まれでありまして、当時の小説好きというの
は、基本的に純文学の話で、そんななかで「中間小説誌」を熱心に読んでいる
なんてのは、ほとんど何考えてんだというふうに思われていたはずであります。
しかし、当時に純文学を好きであった人たちのどれだけが、今も小説を読ん
でいるのかなであります。