本日の新聞から

 本日の朝日新聞夕刊には、片山杜秀さんのコンサート評が掲載されて

いました。片山さんが8月2日にミューザ川崎で聴いたゲルギエフ指揮の

PMFオーケストラの演奏会のものです。

 熱心な音楽ファンでありましたら、PMF音楽祭というものをご存知でしょ

うが、全国的にはあまり有名ではないようです。それで、片山さんの評も

PMFについての説明から始まります。

「パシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)は。1990年から札幌で

開催されている。環太平洋地域を中心とする、世界の若い音楽家のための

夏期講習会。オーケストラを作り、一流演奏家の教えを受ける。レナード・

バーンスタインの提唱で始まった。ポスト冷戦時代のアジア・太平洋の平和

を音楽で築こう。そんな趣意だった。」

 片山さんは触れていませんが、バーンスタインはこの音楽祭を中国での

開催を考えていたのですが、ちょうど1989年に天安門事件が起こったもの

で、それがためにたなぼたで札幌が会場となりました。

 ひどくお金のかかる音楽祭であるようですが、有力なスポンサーの支援の

おかげもあって、今年は30回目でしょうか。

 かってはPMFシーズンに何度か演奏会に足を運んだのでありますが、ここ

何年かは一度いくのがやっととなっています。

 近年で一番スリリングなコンサートは一昨年に足を運んだPMFオーケストラ

のものでありました。指揮者はゲルギエフです。

若い音楽家にとってはマエストロ ゲルギエフの指揮で演奏するというのが一

番の楽しみとなるので、その初回の公演は緊張が高まるものです。普通であり

ましたら、本番の前にリハーサルをしてから演奏会に臨むのでありますが、

超多忙なマエストロでありまして、リハーサルは別の若い人がふって、マエストロ

は本番だけであったようです。

 しかししかし、コンサートが始まろうという時間になっても、マエストロは日本国

内に到着していないのですね。開場を遅らせたり、プログラムを組み替えたりして

しのいでいるうちに、マエストロは空港に降り立って会場に向かっているという

情報が伝わって、観客はじっと待つことになりです。

 巌流島の武蔵のようにマエストロは、何ごともなかったようにステージにでてき

て、コンサートマスターと握手してから、指揮台にのぼり、いきなり演奏をはじめた

のでありますね。

 こうしたアクシデントのせいもあって、ひどく高揚した演奏になったように思い

ます。こうした傍若無人とも思える態度は褒められたものではありませんが、それ

が許されるのが巨匠の巨匠たる所以でありますか。

 片山さんが足を運んだ川崎公演は、ちゃんと定時に始まったのでありましょう。

「ロシアのワレリー・ゲルギエフの指揮した川崎公演は素晴らしかった」と書いて

います。

 指揮者はロシアのゲルギエフ、「(オーケストラの)メンバーは米日中韓で約6割

になる。合奏は確かに平和共存への夢を紡ぐ。一方的押し付けは不可能だから。

音楽の夢を信じたい。」と片山さんは記しています。

 この音楽祭がスタートしてからの世界の情勢は大きく変化でありますが、この

ような取り組みは大事にしなくては。