片付かないこと

 ふだん座っているところから、すぐに手の届くところに本とか新聞をおいて

いたら、そのあたりの床が見えなくなってきました。もちろん、そのあたりを

歩くにも、空いているところを探しながら足を運ばなくてはいけません。

当方は、新聞とか本など文字が印刷してあるものを足で踏むということは

できませんので、ちゃんと整理をしなくてはいけないのでありますね。

 図書館から借りている本で、これは読むのに苦労するだろうなと思って

借りたものが、案の定でありまして、まだほとんど読めておりません。

これはいかんことであり。

 本日にすこし手にしていたのは、もうだいぶん前から借りている「敗北者

たち」みすず書房でありまして、これは前半のロシア革命のところをばっさり

と飛ばして、第一次世界大戦後に崩壊する「オーストリアハンガリー二重

帝国」のことが取り上げられるところから、読んでみることになりです。

「戦前、二重君主国はヨーロッパ第三の人口を擁する国であり、民族的、言

語的にも最も多様性をもつ国家の一つであった。1910年の公式統計による

と、帝国人口の23%以上がドイツ語を第一言語として話し、約20%がハン

ガリー語を母語としていた。ドイツ語とハンガリー語は最も一般的に話されて

いる言語であったとはいえ、この両語が排他的な地位を占めていたわけでは

決してない。ハプスブルグ帝国の市民の約16%がチェコ語かスロヴァキア語

を、10%近くがポーランド語を、9%近くがセルビア語かクロアチア語、ないし

ボスニア語を、8%がウクライナ語を、6%がルーマニア語を、2%をスロヴェ

ニア語を、そして1.5%がイタリア語を話していたのである。そして残りの100万

人はその他の様々な言葉を話していた。これら様々な民族的、言語的コミュニ

ティの忠誠心は、根本的にハプスブルグ家、すなわち二重君主国を長らく統治

してきた皇帝にむけられていた。」

 この二重帝国が崩壊したことを「パンドラの箱」を開けたことにたとえている

のですが、これによって民族国家が次々と生まれるのですが、二次大戦を終え

て、社会主義国家の崩壊で、さらに国は細分化されています。

 こうした動きに対して、19世紀的な縛りで多民族国家を維持しようとしてい

るのは中国でありますが、ここにおいて「パンドラの箱」が開いたら、その混乱は

世界を巻き込む大変なことにですね。かといって、現在の力による抑えこみが

いつまでもうまくいくとも思えないのでありますが。 

敗北者たち――第一次世界大戦はなぜ終わり損ねたのか 1917-1923

敗北者たち――第一次世界大戦はなぜ終わり損ねたのか 1917-1923