「図書」4月号から

 岩波から「図書」4月号が届きました。

 今月号から片山杜秀さんの連載が始まったようで、これは楽しみなこと

です。目次には「プリンス・オブ・ウェールズ」とありまして、これは何を話題と

するのだろうかです。この文章の書き出しは、次のようになっていました。

「1941(昭和16)年12月8日、日本海軍の航空部隊がハワイを奇襲攻撃した。

真珠湾に停泊していたアメリカ海軍の太平洋艦隊の戦艦群に大打撃を与え

た。もちろん、その日に起きたことは、それだけではなかった。戦端はあちこち

で開かれた。」

 書き出しは太平洋戦争の口火が切られたことから始まるのですから、この

表題となる「プリンス・オブ・ウェールズ」とは、英国の軍艦のことをいうのだ

そうです。

プリンス・オブ・ウェールズは、イギリス海軍の切り札として、出来上がって

まだ間もなかった。ロンドン海軍軍縮条約が、1936年の日本の条約からの

脱退によって事実上無効化すると、イギリスも、条約に規定に縛られない、

大型かつ高速な戦艦の建造を目指した。」

 ということで、片山さんは4月号からどのくらい続くのかわからない連載を

はじめたわけでありますが、この連載全体の題は「武満徹」となっています。

ということは、連載の初回でも、どこかに武満徹さんの名前がでてくるのかと

思ってページをめくってみましたら、四分の三くらいたったところで、「プリンス

オブ・ウエールズ撃沈の報道から強い霊感を享けた少年がいた。」というこ

とで、今回の表題と主人公がつながることになります。

 なるほど、これぞ片山杜秀さんの語りであります。

 これを読みますと、片山さんの最近にでた本を読んでみたくなることです。

鬼子の歌 偏愛音楽的日本近現代史

鬼子の歌 偏愛音楽的日本近現代史

 

  この本については、先日の毎日新聞書評欄でとりあげらていて、これが

秀逸でありました。三浦雅士さんによるものですが、ネットの毎日新聞は、

いまは有料のみとなっていて、当方が読んで喝采をあげたところを目にする

ことができないのは残念ですが、たしか三浦さんは、片山さんが日本の戦前

の保守思想を研究テーマとしたのは、この本を書くためではなかったのかと

までいってました。

 たぶん、英国の戦艦 プリンス・オブ・ウエールズ武満徹につながるの

も、それの延長線上にあるのでしょうか。