見捨てられた地区

 昨日に購入した「原発を誘致しよう」を話題にします。

「原発」を誘致しよう!―優れた電源、地域振興で大きな成果

「原発」を誘致しよう!―優れた電源、地域振興で大きな成果

 

 日本社会が高度成長ということで、景気の良い話が大都市圏を中心に

盛り上がっている一方で、成長から取り残され、若い人たちの流出の続く

地域が、広く日本全国でありました。

 現在、限界集落といわれているところのほとんどは、日本の高度成長の

波に乗ることができなかった地区といえるでしょう。その昔であれば、全国

津々浦々までに等しくサービスを提供するということができた日本であり

ますが、とっくにそんな国ではなくなっていて、それは自助努力が足りない

からだとか、好きで過疎地に住んでいるんだからといわれそうになってしま

いそうです。

 高度成長時代に電力需要が多くなるという要請を受けて(米国の原発

産業の売り込みもあって)、これからは原発が電力発電の主流になると

なり、あちこちの自治体では、背に腹はかえられないと原発誘致に向かう

ことになったわけです。

 原発立地には、海岸沿いの過疎地が最適でありますので、好条件を提示

された町村は、反対派を抑えこんでも誘致に邁進したのです。

 そうした原発立地勝組の町村にルポしたのが、「原発を誘致しよう」と

いう本でありまして、ここには勝組ならではの首長の声がのっています。

原発反対派へのヘイトがすこし目立っているのですが、これはこの本の

著者の基調でもあるからでしょうか。)

 若い人たちに就労の場を与えて、各種の住民の利便施設も整備し、町

民の平均収入はどこにだしても恥ずかしくないとなっていると声を大にし

ていいたいというのが立地町村の首長の話です。

 こういわれましたら、うらやましいなと思わない人はいないでしょうし、

うちもそれにあやかりたいとなりますね。(そうでなければ、無策となって

選挙で負けることになりです。)

 もともと大変な過疎地に住んでいる人たちからすれば、都会に住んで

原発に反対する人たちに、自分たちの気持ちはわからないという思いが

強いのでありますね。

 原発が全部とまっても、日本の現在の電力消費でいきますと、致命的で

はないということは、なんとなくわかってきています。もっともっと工業出荷

額を増やすような方向にいくために、もっと安い電力供給をというのは、

日本が世界の工場役を担っていた時代の話で、今の日本の企業動向では

そんなことにはなっていないようです。

 原発に依存しない電力供給をというのは、需要が減ってきていることも

あって、十分に現実の話となっています。

 しかし、限界集落に住む多くの人や、原発立地に救いを求めた人たちに

希望を与えることをどう考えるかというのは、大都市圏に住む人たちにも

考えてもらいたいものであります。

 このへんを解決をトランプさんに頼むことはできないことであります。