これはあわないか

 本日も図書館から借りてきた鈴木一誌さんの「ページと力」を手にしていま

したが、これは小生の好みにはあわないかなであります。ぱらぱらのぞいている

のですが、もうすこしわかりやすく書いてほしいなと思ったりです。

 そういえば、当方は鈴木さんが装丁した本をほとんど読んだことがないように

思いました。(知らずに読んでいることもあるでしょうが、少なくとも鈴木さんが

装丁したものだから読もうとしたことはなかったようです。)

 たぶん、当方に、この本で一番読みやすいものは、昨日に話題とした金井美恵

子さんについてのものとか、映画を話題としたものでした。鈴木さんは映画批評

でも知られているとのことで、ふだんあまりなじみのない人のものを手にすると、

頭の体操になることです。

 たとえば、次のようなところ。

「文字体系としての横転を許容しなかったのは、やはり漢字の垂直性のためで

はないか。漢字の垂直性を、明朝体活字の縦棒の剛直さが補強したはずだ。

日本人の目に馴染む明朝体が完成していくプロセスとは、書体デザインの洗練

化だけの歴史ではなく、文字が体系的に横転してしまうかどうかをめぐる過酷な

たたかいだったろう。漢字の垂直性を弱める動きの一環として、縦棒と横棒が

ほぼ同一の太さをもつゴシック体が生みだされた、こう想像する。」

 これは「文字の前後左右」という文章からの引用ですが、明朝体だけでありま

したら、横組の文字列が一般的になることはなかったということがわかります。

本とか新聞は縦組が多いのですが、ネットの世界では横組が圧倒的で、いまは

横組にしたときに読みやすいというか、より映える書体がせっせと作られている

のでありましょう。