数日前から積読数年となる長編小説を手にしているのですが、これが
苦戦であります。あと数日はうんうんといいながら読み進めることにしよう
と思っていますが、どこまでいくことができるかな。
当方が読んでいるのは、文庫ではなくみすず書房版のほうであります。
表紙の写真がやはり魅力的です。
このところ、地域に残る古い写真などの発掘をしているのでありますが、大正
のはじめ頃の写真になりますと、それを保管している人もどのようなときに撮影
された集合写真であるかとか、どのような人が写っているのかもわかっていな
いのですね。
そうした集合写真を目にしますと、ついついこの小説の表紙に使われている
写真のことを思い出してしまうのであります。
訳者のあとがきを先に読んで見ましたが、この写真は1914年(ということは
大正3年だそうです。第一次世界大戦がはじまった年でした。)にドイツの写真家
アウグスト・ザンダーが撮影したもので、この写真についてはジョン・バージャー
が論じているのだそうです。
1914年ドイツの男性たちはどこに向かうのでありましょう。そして、当方が先日
に見た女性ばかりの大正から昭和初めとおぼしき写真には、どんな物語が潜ん
でいるのでありましょう。
アウグスト・ザンダーの写真から二段組400ページの小説を書いたリチャード
パワーズはすごいな、だけどなんとか前に進まなくては。