新潮社からでている黒川創さんの「鶴見俊輔伝」には」、人名と事項の
それぞれで索引が作成されていました。このような本は資料として使われ
ることですから索引がなければ、あとで大変であります。
たとえば、鶴見さんが留学先の米国から、日本に帰国する「日米交換船」
で一緒となる、次のような人についてであります。まずは黒川さんの「鶴見
伝」からの引用です。
「この最下層階(船の)はEデッキと呼ばれており、一般の商店員などともに、
三十人ほどの留学生、若手研究者たちがいた。そのなかで、互いの心持ち
の近しい者同士が、おのずと寄り合った。プリンストン高等研究所にいた
数学者の角谷静夫(1911年生まれ)、細胞生理学者の神谷宣郎(1913年
生まれ)。この二人は、すでに同業の研究者たちのあいだで名前を知られる
業績の持ち主だった。」
神谷さんというのは、神谷美恵子さんの夫となるかたでありますが、気に
なるのは、数学者の角谷さんのほうであります。
鶴見さんが船であった時の角谷さんは独身でありますが、その後再び
米国にわたり、そこで研究を続けたとあります。そして、その娘さんとなるの
がミチコ・カクタニとして知られる文芸批評家です。
あいかわらずで、何年たってもミチコ・カクタニさんの評論を目にするこ
とはできていないのでありますが、以前に拙ブログで話題としてから、
8年ほど経過して鶴見俊輔さんに関しての本で角谷静夫さんのことを
すこし知ることができました。
鶴見さん、加藤典洋さん、黒川さんの「日米交換船」には、角谷さんの逸
話がもうすこし多く紹介されていて、こちらも索引がありますので、それを
頼りに、角谷さんをエピソードを拾いよみであります。