昨日まで大学入試センター試験でありましたが、その問題が新聞に掲載
されていました。ほとんど試験問題はちんぷんかんぷんであるのですが、現代
国語だけは、どのような文章が問題として採用されているのかとのぞいて見る
ことになります。
過去には野呂邦暢さんとか加賀乙彦さんの文章が採用されて、それを話題
としたことがあったのですが、さて今年はですが小説は上林暁さんの「花の精」
という昭和15年に発表された作品です。これまたえらい地味な作品でありまし
て、まったくどういう基準で選ばれるのでありましょう。試験問題になっているの
は、けっこう長文でありまして、来年以降は過去問題集に収録されることになる
のですが、上林さんの「花の精」は、どうすれば読むことができるのかな。
当方の場合は、上林全集がありますので、それをチェックして収録されている
第三巻を抜いてきました。20ページほどの作品ですから、本日はこれを読むこ
とにいたしましょう。
現代文のもうひとつは、沼野充義さんの「翻訳をめぐる7つの非実践的な
断章」という文章からでありました。この文章はなかなかおもしろいもので、
問題を解くことはしないこともあって楽しく読むことができました。
たまたま見ていたら、沼野さんがツイッターでセンター国語問題に言及して
いました。どこの大学も、入試問題がオープンになる前に、今年の試験で使わ
せていただきますというあいさつはないはずですから、このような話になるの
でありますね。
センター試験の国語冊子を開くと、現代文は「翻訳」をめぐるエッセイ。「僕は…いい加減な人間なので」と始まるふざけた文章で、なんだか要領を得ないところがあるが、わりと面白く、私の考えにとても近い。誰だい、こんな文章を書いたのは? と不思議に思って、著者名を見ると、なんと自分だった。
— Mitsuyoshi Numano (@MitsuNumano) January 20, 2019
この試験問題では、沼野さんの最初の著作である「屋根の上のバイリンガル」
からの引用がはいるのですが、当方は、これをUブックス版で確保しておりました。
先日のこちらの放送でタモリ倶楽部を見ていましたら、大学入試問題を解くと
いう特集でありまして、花園大学で入試問題に採用された武田砂鉄さんをゲスト
に、タモリと武田さんともうひとりが試験問題を解いて、それを大学の先生が
チェックするというものでありました。
これにならって、沼野さんも今回の問題を解いてみて、その結果を報告しても
らいたいものです。