北へとむかう

 本日の11時から一時間半ほど散歩に歩いていましたら、北に向かう白鳥の群れを何度
も目撃することになりです。1日に何百キロも移動するのでありますからして、この時
間に北へとむかう群れの、本日の休憩地はどちらになるのでありましょう。
当方の散歩コースに対して、白鳥の群れは背後から飛んでくることもあって、鳴き声に
気づいて空を見上げた時には、群れはだいぶん遠ざかっていて、それからあわててスマ
ホを取り出して写真をとっても、ほとんど芥子粒のようにしか映り込みません。
 この渡りは、まだすこしは続くでありましょうから、そのうちにカメラをもって写し
てみることにいたしましょう。
 本日は、朝から佐藤正午さんの「鳩の撃退法」下巻を手にしておりました。朝から読め
ば、本日の内に読み終えるかなと思っていましたが、すこし読みくたびれて、200ページ
くらい残して、本日はおしまいとなりそうです。
 まったくこの小説は人をくった物語(?)でありまして、この小説を楽しむことがで
きるかどうかは、小説に挟み込まれる、つぎのようなくだりを、どう感じるかでありま
すね。
「まあテレビや映画や小説にはよくある台詞だろう。後悔などしない、と粋がるあたり
がポイントで、脚本家や小説家は自分ではできないことを書くのが仕事だから、代わり
に言わせてみたい気持ちはわかる。同業者としてわかるが、でも僕の場合はそこまで単純
ではなく、なにしろこの物語の作者であり同時に実在の登場人物でもあり、一人二役のわ
けだから、二つの立場の間に葛藤がある。小説家として、すらすら嘘を書ければいいなと
は思うし、実在の登場仁ぶるとしては、真実ありのままの自分でいたいとも願う。」
 そうなのだよね。この「鳩の撃退法」はメタフィクションに分類される小説なんだわ。
作中の作者はどこかで「筋だけを追うことをしないで」と書いていないかったかな。

鳩の撃退法 下 (小学館文庫)

鳩の撃退法 下 (小学館文庫)