つっこみながら

 本日はこれまでのところ、ほぼ「鳩の撃退法」上巻を読んでいたのでありますが、
いまだ最終ページにたどりつかずであります。本日の早々に上巻を読み上げてしまっ
たら、下巻確保はどうしましょうと思って、お昼の散歩の折に、途中にあるコンビニ
書店に立ち寄り、在庫を確認したのでありますが、夜にこれ買いに走ることはなさそ
うです。
 この小説は、あちこちに作者が登場してきて、モノローグであります。こちらは、
そんなこと言っていないで、早く物語を前に進めろよとつっこみをいれることになり
です。
 作者のモノローグは、次のようにはさみこまれます。
「あなたに思い出してほしいのは、この物語の冒頭、幸地秀吉が読んでいた新刊小説
の帯のことだ。そこにはこんなたらればのキャッチコピーが印刷されていた。
 別の場所で、ふたりが出会っていれば、幸せになれたはずだ。
 なるほど、ふたりはまちがった場所で出会ってしまったわけだ。そこに後悔が残る
わけだ。だったら、小説家は別の場所でふたりを出会わせるべきだろう。書き直せば
いい。まちがった場所まで戻って後悔の種を取り除けばいい。たらればが有効なのは、
現実の取り返しのつかない、一回きりの人生においてのみだ。小説家は小説を心ゆく
まで書き直すことができる。」
 こういうところだけを抜き出していきましたら、これってけっこう実験的な作品の
ようにも思えるではないですか。まあ筋を追うだけでありましたら、こういうのって
邪魔っけだったりするのですが、これが正午節かなとも思うものの、「月の満ち欠け」
には、こういうふうな作者の登場はありませんでしたので、これは1100ページもある
長篇であることで可能となるのでしょう。